雑誌記事やブログ記事を書くのに絶対に必要な資質

ライティング

若かりしころ、とある雑誌の編集長から、ライティングに必要なのは「足」「頭」「手」の3つだと教わりました。

足……情報収集する能力。

頭……集めた情報を料理し、企画にまとめる知恵とセンス。

手……企画にマッチした文章を書くスキルとセンス。

この3つを使って、1本の記事をしあげるのです。

大切なのは、情報を選びとるセンスと切り捨てる潔さ

たとえば、オーディオの新製品レビューなどを書く場合、開発者へインタビューをおこなったり、デモ機を借りてみずから操作したり、音を聴いてみたりして、情報をかき集めます。デザインや操作性はどうか、音質はどうか、高音は出ているか、低音の迫力はあるか、前モデルから引き継いでいる機能はどれか、新たに搭載された機能はあるか、コンセプトや開発者が苦労した点はなにか……など、取材ノートには数十、数百の情報が書きつけられていきます。

センスが問われるのはここからです。

雑誌のレビュー記事など、1000字もあれば御の字です。200~300字くらいでまとめなければいけないことも多い。1000字では、せっかく集めた情報も5つくらいしか盛り込めません。200~300字なら、せいぜい2つか3つです。このとき、ダメな書き手は、ダメな情報ばかりを選ぶのです。

もっとダメなのは、集めた情報をすべて盛りこもうとする書き手です。読者になにを届けたいのか、自分でわかっていません。そういう記事では、読者にはなにも伝わりません。

「一番大切なのは、取材力でも文書力でもなく、手元の情報からどれを選びとるか、そのセンス」

先の編集長はいいます。苦労して集めた、虎の子のような情報をどれだけあっさりと捨てられるか、ということでもあります。

ライティングの訓練を積まれていない方の場合、通常は集めた情報をなにもかも文章に入れようとします。ブログなどに記事を書く際は、文字量の制約がありませんから、ますますそうなりやすいものです。どこまでスクロールしても終わりがやってこない、トイレットペーパーに書かれたような記事をたまに見かけますが、ああいうものは読んでいるうちに目がちかちかしてきて、読者に肉体的な負担をしいています。

よくないです。どこのだれかもわからない人がだらだらと書いた、メリハリのない商品紹介など、だれが読みたがるでしょう。メーカーのプレスリリースか、公式サイトをチェックしたほうがよほどわかりやすいし、正確な情報が手に入ります。

Webサイトやブログで記事を書くときも、自分ならではの視点を大切にする必要があると思います。なにも、独創的な意見を発表する必要などありません。読者が求める情報はなにか、自分だから発信できる情報はなにか、を考え抜き、それに見合った情報を選択したら、ほかは全部切り捨てる。

その潔さが、あなたの記事を、ほかにはない切り口で書かれた、唯一無二の記事にしてくれます。

 

あとがき

誤解のないようにつけたしておきますが、その編集長はなにも「取材力や文章力は必要ない」といっていたわけではありません。

取材力を鍛えるというのは、度胸やテクニック、駆け引きのコツなどをからだに叩きこむことです。どんなに偉い人物や恐い人物、嫌な人物を目の前にしても、堂々といいたいことをいい、聞きたいことを聞ける。取材者への敵愾心をむきだしにしている人物からも話をひきだす。そういう図太さを身につけることはとても大切です。もちろん、一朝一夕で磨けるスキルではありませんが、場数を踏めば手に入ります。

文章力も同じ。書きつづけていれば、だれでもやがてそれなりに書けるようになるものです。

けれども、情報を選ぶセンスだけはそうはいかない。こればかりは、編集者が教えることも、鍛えることもできない。そのことが、前述の発言へとつながったのだと思います。

photo credit: Clemson via photopin cc

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