事務系資格で、的確かつ迅速な事務処理能力を証明

事務職イメージ

ビジネス系の資格といえば、まっ先に思い浮かぶのは「簿記」。このほか「税理士」や「公認会計士」などもメジャーですが、就職や転職、キャリアアップに役立つビジネス系の資格は、なにもこうした経理・財務・会計関連だけではありません。

事務系の資格を取得すれば、所属部署に関係なく、役立てることができます。

今回は、こうした事務系資格について書いてみたいと思います。

事務系資格は、就職&転職&キャリアアップにプラス

たとえば、「秘書技能検定」などは、年間約15万人が受験する人気資格です。

それが証拠に、ビジネス系資格の人気ランキングでも「秘書技能検定」は「簿記」についで、堂々2位! なのです。

ビジネス系資格の人気ランキング
1位 日商簿記検定試験
2位 秘書技能検定
3位 衛生管理士者

(2012年度の受験者数から)

秘書課に配属されなくとも、あらゆる事務職に応用が利きますから、取っておいて損はないですね。学生さんの受験者も多く、受験者全体の約8割を占めることが知られています。しかも、2級ではなんとその半数以上が合格。それを聞くと、気楽に受験できますね。

もちろん、やさしめの資格とはいっても、履歴書を飾ることはできますし、面接でハッタリもかませます(笑)。「事務の基本的な素養はひと通り身につけています」とかね。

秘書技能検定
秘書の業務内容からビジネスマナー、接遇まで、秘書でなくとも活用できる、ビジネス全般にまたがる能力を裏づける資格です。1級から3級まであります。2級からが評価の対象です。就職や転職に使いたいなら、2級以上を目指しましょう。1級受験には、英検2級以上とワープロ系資格が必要。難関。

同じ秘書関連の資格でも「米国上級秘書資格」もしくは「CBS(国際秘書)検定」をゲットしておけば、外資系企業の就職活動や転職活動が有利に展開します。

米国上級秘書資格(CAP)
世界最大の秘書協会であるIAAPが主催する資格。マネジメント能力からコミュニケーション能力、会計やIT関連の知識までが問われます。秘書の世界標準として知られています。受験には、実務経験が必要となります。日本人の受験者数は少ないうえに合格率は約半数と高いですから、じつは狙い目です。
CBS(国際秘書)検定
国際秘書の育成を目的として設立された資格です。外国人がたくさん働く職場などで重宝されます。審査は実務処理能力に主眼を置いたもので、それだけに多くの企業で高い評価を得ています。まず「プライマリー試験」を受験。合格者のみが「ファイナル試験」を受験できるという二段階方式となっています。合格率はそれぞれ50%弱と30%弱。外資系OLを希望しているなら、挑戦するのも手です。

PCスキルを保証してくれる事務系資格は、入社後3年以内に取る

パソコンの利用スキルがある、と証明してくれる資格も、取得しておいて損はありません。

男女ともに受験者の多い資格です。

IT系資格の記事で紹介したような、ハイレベルのコンピュータスキルは必要ありません。あくまで、パソコンを使った事務処理能力をはかる資格です。パソコンがそれなりに使えるのであれば、楽々取得できるはずです。

代表的なのは、「MOS試験(マイクロソフトオフィススペシャリスト)」や「ITパスポート試験」あたり。普段使うのはスマホばかりで、パソコンにはちょっと自信がないな、という方も、資格の勉強をすることで、パソコンの基礎スキルが身につきますから、この際、取得してしまうのが得策です。

持っていれば、履歴書やエントリーシートが賑やかになりますし、もちろんそれ相応の評価も得られます。

IT業界にかぎらず、どんな業界においても、です。

MOS試験
(マイクロソフトオフィススペシャリスト)
累計受験者が300万人を越す超人気資格です。「Excel」「Word」など、マイクロソフトのアプリケーションに関するスキルを担保してくれます。業界や職種に関係なく、仕事に役立つ事務処理能力があると裏づけてくれますから、転職予定の方はとくにおすすめです。解説記事。
ITパスポート試験(IP)
社会人なら取得するに越したことはない国家資格。2011年からCBT(コンピュータを使った試験)に完全移行し、受験者数が減ったようですが、それでも2012年度は6万人以上が受験した人気ぶり。現代のビジネスマンに必要な情報技術の基礎知識や、テクノロジーやマネジメントに関する用語、概念などが問われます。持っていれば、パソコンにくわしく、ITを活用した業務改善がおこなえ、経営管理の基礎知識を有する人材、として評価されます。劇的とまではいかないまでも、転職は有利になります。
文書処理(ワープロ・表計算)能力検定
ワープロソフトで正確にすばやく文章を作成したり、表計算ソフトを駆使したりする能力を証明してくれます。事務の現場で活用できる資格ですが、企業が書類作成を外部へ発注するケースもあるので、副業にも使えそうな資格です。1~4級があり、ワープロ3級の合格率は80%以上。簡単に取得できるのが特徴ですが、それでも履歴書やエントリーシートは飾れます。

なお、この3つは5年選手や10年選手の社会人が取得してもほとんど意味はありませんから、ご注意を。取得タイミングの目安は、社会に出て3年以内といったところでしょうか。それなら、「きみ、エライねー」なんて、上役から褒めてもらえますし、先輩たちからも一目置いてもらえます。

資格スクールに通ってもいいのですが、「MOS試験」レベルのスキルなら、独学でも十分に身につきます。

新卒入社後3年以内くらいで取得しておけば、社会人としての心得が効率よく手にできる資格としては、ほかに「日商簿記検定(2級)」「TOEIC(730点以上)」などが挙げられます。

日商簿記検定
簿記検定の実施団体は複数ありますが、日商の検定が最もメジャーです。1~4級まであり、評価の対象となるのは2級から。数字に自信がある方なら、2級は独学でも取得できるレベルなので、ぜひ挑戦してみてください。解説記事。

「TOEIC」は、英語資格の記事にくわしく書いています。

こうした資格が履歴書やエントリーシートに記入できれば、「パソコンには自信があります」「会計のことならお任せください」「英語はそこそこできます」と、面接でも胸を張って語れます。

ついでながら「ビジネス能力検定」という、直球勝負のネーミングの資格もあります。

ビジネス能力検定ジョブパス
「B検」の相性で知られる民間ライセンス。ビジネスマンとしての基礎的スキルやマナーが備わっていると認定してくれます。1~3級まであり、3級なら合格率は8割以上です。

こちらも入社後3~5年のうちに取得すると「あの新人、なかなか仕事熱心で優秀だね」と社内での株もあがるというものです。もちろん、仕事に活かせる知識も身につきます。同期に差をつけたいなら、うってつけです。

OLたちのあいだで静かに人気なのが、貿易事務のお仕事

ここで、ちょっとニッチな資格を紹介します。

最近、事務系OLさんたちのあいだでひそやかな人気を呼んでいるのが、貿易事務の仕事です。隙間需要があります。あまり知られていないぶん、就職や転職時の競争もさほど激しくないです。しかも、普通の事務職よりお給料はいいです。

ある大手派遣会社のコーディネイターさんから聞いた話なのですが、結婚の予定もなさそうな30前後の事務職OLさんが貿易事務への転職を希望するケースが最近、後を絶たないそうです。

むむむ。

ちょっと寂しい話ではあるのですが、堅実な選択ですね。ひとりきりで生きていかなければならないかもしれない将来を見据え、身の丈の範囲で可能なキャリアアップと収入アップを狙う、ということなのでしょう。

もちろん、女性だけでなく、男性でも貿易事務をこころざす方は少なくありません。貿易事務は経験が歓迎される職種です。先のコーディネイターさんによれば、未経験者が貿易事務への転職を希望する場合は、やる気をアピールするという意味でも「貿易実務検定」の資格は不可欠だそうです。

そうすれば、たまには「英語が話せる」「貿易実務検定の資格保有者」といった条件つきで「未経験可」の求人が出ていますから、そこへ応募することも可能です。

なお、商社やメーカーなどの大手を狙う場合、いきなりの正社員採用は厳しいですから、まずは派遣などで貿易関連の仕事を経験しつつ、資格を取って転職する、というルートが妥当なセンです。

貿易実務検定
貿易実務をおこなうための知識や英語力が問われる資格です。通関手続きや英文ビジネス文書の作成などのスキルが習得できます。A級、準A級、B級、C級の4段階があります。民間資格。
通関士
国家資格です。全国に900社近くある通関業者に就職し、通関士として活躍することができます。通関士は、通関手続きに必要な書類の審査をする仕事です。合格率は10%を切る難しい資格なのですが、取得すれば堅実な道を歩いていけます。というのは、巷間でよく聞く建前(笑)。知り合いの通関士の話では、通関士の席の数は決まっていて、欠員が出ないかぎり、新人通関士の入りこむ余地はないそうです。でもコネか運があれば別。なお、貿易事務の仕事には、この資格は不要だそうです。

ついでながら、女性に人気のある資格といえば、「医療事務」「調剤薬局事務」も見逃せません。

確実に食える資格として注目されてきたのが「弁理士」

最後に少し変わり種の資格を紹介します。

「弁理士」です。

ご存じの方も多いと思いますが、「弁理士」は「食える資格」として勇名をとどろかせてきました。

仕事内容は、特許権や実用新案権などの出願手続きを代行するというもの。もう少しくわしくいうと、新技術や発明品、実用新案、あるいは工業上のデザインなどの意匠、商標(トレードマーク)などの権利を確保するには、特許庁に申請して登録をすませる必要がありまして、その代行業務をおこなうのが、弁理士の主たる業務ということになります。

企業の技術開発競争や製品開発競争は完全にグローバル化してきていますから、海外企業が開発した新技術は国境を越え、日本の特許庁に登録されるというケースも目立って増えています。

というわけで、弁理士の仕事は広がるばかりなのです。

資格を取得し、商売の才覚さえあれば、独立しても仕事に困ることはまずない。引く手あまたです。もちろん、いきなり開業となると自信も資金もコネもないという方は、まず企業の特許関連部門や特許事務所に勤めるという手があります。勤め人であっても、弁理士は手厚い待遇で迎えられることが多いようです。

資格にくわえ、英語が読み書きができるなら、先ほど述べたような海外企業の出願手続き代行がおこなえますから、年齢に関係なく、年収1000万円を突破することもめずらしくありません。

ただし、こうしたおいしい状況にも最近は陰りがみえはじめているようです。ここ10年くらい、受験者数と合格率があがり、有資格者が増えすぎたからです。これから狙うなら、よく考えてからにしてください。

弁理士
特許、実用新案、意匠、商標などを特許庁に出願する手続きの代行業務をおこなうための資格です。合格率は10%前後と超難関。ただし、この十数年で有資格者の数が激増したため、競争は激しいようです。企業の知的財産部門に勤務する40代前半で年収1000万円超、というケースもあれば、弁理士事務所に勤める40代後半で、TOEIC900点以上なのに年収600万円、というケースもあります。要は、自分力次第ということなのでしょう。

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