ジョン・ロック【JOHN LOCKE】

ジョン・ロック

ジョン・ロック(1632〜1704年)は、合理主義者らの主張の検証作業にとりかかった経験主義哲学者のひとり。

主著は『人間知性論』(『人間悟性論』とも)。

ここでロックは2つの問題を解明しようとする。

  1. 人間はどこから観念を手に入れるのか
  2. 感覚が語るものを信頼していいか

人間知性論(人間悟性論)で、ロックが語ること

「人間はどこから観念を手に入れるのか」

ロックは僕らの思考内容と観念はすべて、かつて経験したことのあるものの反映にすぎないと考えた。

人間は最初まっさらで、感覚によって、見る、聞く、さわる、匂いをかぐ、味わうといったことを繰り返し、感覚の単純な観念ができあがる。すると意識のなかで変化が起こる。感覚の観念は、考えたり理由づけされたり信じたり疑ったりしながら加工されていく。

そうやって、ロックが「反省の観念」と名づけたものができてくるのだ。意識は受け身ではない。外界から押し寄せる感覚を整理し加工するのである。現代の脳科学が解明した海馬の働きを、ロックはこの時代にすでに説明していたといえよう。

ロックによれば、感覚器官が感知するのは単純な感覚だけ。たとえばリンゴを食べると、この単純な感覚を次々に受けとめる。新鮮な香り、ちょっと青い、すっぱい……。何度もリンゴを食べているうちに初めて、リンゴの複合観念がつくられ、リンゴをリンゴと認識できるようになるのだという。

初めてリンゴを食べたとき、それはまだリンゴではないのだ。

こんなふうに僕らは、世界についての知を形作る素材を、すべて感覚器官から手に入れている。だから、元をたどり、単純な知覚が見あたらない場合は、その知は偽物なのだから、捨てなければならないのである。

イギリス経験論を確立させた著書『人間知性論』(1689年)。執筆に20年もの歳月をかけたという。

感覚が語るものを信頼していいか

では、次の問題。世界は僕らが感じるとおりのものだろうか。

ロックは感覚の性質を「第一性質」と「第二性質」に分けた。そして、この部分ではデカルトたちと和解した。

というのも、ロックの第一性質は「延長(ひろがり)」、つまり重さ、形、動き、数であり、こういう特性については、感覚が物のほんとうの特性を再現していると信じられる、と考えたのだ。

反対に第二特性――色や匂いや味などの知覚は、物体そのもののほんとうの特性を再現していないと考えた。物体の外的な特性が、僕らの感覚に与えた結果を再現しているにすぎないというのである。こういうものは、ひとによって感じ方も異なる。

この点で、ロックとデカルトの主張は一致を見たのだ。

自然法的な倫理観と神の存在に対する認識はみな生得的にもっている

ロックは直感的知や論証的知というものを認めた。だれしも倫理的な原則をもっている、という自然法の考え方を尊重していたし、神が存在するという認識は人間の理性に最初から備わっていると信じていた。

合理主義を批判しながらも、合理主義的な部分をもっていたのだ。

思想の自由と寛容を擁護し、男女同権をとなえたのもロックの進歩的なところ。

帰納法を完成させたイギリスの哲学者で、男女同権問題の大立て者でもあるジョン・スチュワート・ミル(1806〜1873年)はロックから多大な影響を受けている。

政治哲学者、経済思想家、スチュアート・ミル

ロックは自由思想の先駆者で、18世紀フランスの啓蒙主義時代に自由主義は一気に花開くことになる。

権力分権の原則を初めて唱えたのもロックである。

 

つづく

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