1970年代後半のSFアニメブーム〜テレビまんがが突然アニメになった日のこと

未来少年コナン

©NIPPON ANIMATION CO.,LTD.

いまでこそテレビアニメとかアニメ映画という言葉があたりまえになったが、1970年代のなかばまで「アニメ」「アニメーション」という言葉をほとんど使われていなかった。

当時は「テレビまんが」「漫画映画」というのがふつうだった。いま聞くとやぼったいけれど、そのころテレビで放送されていたのはこんなラインアップだったから、ある意味ぴったりというか、しっくりくる呼び名だったような気もする。

放映開始その年に放映されたテレビアニメ作品
1970年『あしたのジョー』『昆虫物語 みなしごハッチ』『いなかっぺ大将』『のらくろ』
1971年『新オバケのQ太郎(2作目)』『天才バカボン』『ふしぎなメルモ』『ゲゲゲの鬼太郎(2作目)』『ルパン三世』
1972年『ムーミン(2作目)』『海のトリトン』『デビルマン』『ハゼドン』『ど根性ガエル』『マジンガーZ』
1973年『バビル二世』『ジャングル黒べえ』『ドラえもん』『新造人間キャシャーン』『ドロロンえん魔くん』『エースをねらえ!』『キューティーハニー』
1974年『アルプスの少女ハイジ』『魔女っ子メグちゃん』『ダメおやじ』『ゲッターロボ』『昆虫物語 新みなしごハッチ』『グレートマジンガー』『はじめ人間ギャートルズ』『宇宙戦艦ヤマト』『カリメロ』
1975年『フランダースの犬』『まんが日本昔ばなし』『みつばちマーヤの冒険』『勇者ライディーン』『ラ・セーヌの星』『ゲッターロボG』『タイムボカン』『元祖天才バカボン』『一休さん』
1976年『ハックルベリィの冒険』『まんが日本昔ばなし(第2期)』『母をたずねて三千里』『超電磁ロボ コン・バトラーV』『キャンディ♥キャンディ』『ドカベン』

テレビまんがは基本的に子どものもので、ティーンエージャー、まして大人の鑑賞に耐えうるような作品がつくられることはまずなかったのだ。ところがこの状況を一変させる事件が起きた。

1977年の劇場版『宇宙戦艦ヤマト』の公開だ。

劇場版『宇宙戦艦ヤマト』の大ヒットにより、アニメブームが到来

テレビ版の『宇宙戦艦ヤマト』は1974年10月に放送が始まり、76年の3月に終了。商業的には成功とはいいがたい状況だったという。

けれども、放送終了翌年の77年に公開された劇場版はちがった。公開前日にはファンが劇場前で徹夜の行列をつくるほど盛りあがり、観客動員数は最終的に200万人を超えたのだ。

劇場版『宇宙戦艦ヤマト』の成功は、アニメブームを巻き起こす。テレビまんがはこのころから「アニメ」「アニメーション」というシャレた名前で呼ばれるようになった。テレビまんがはもう、子どもたちだけのものではなくなったのだ。

放映開始その年に放映されたテレビアニメ作品
1977年『ヤッターマン』『あらいぐまラスカル』『新巨人の星』『家なき子』『新ルパン三世(2作目)』『無敵超人ザンボット3』『野球狂の詩』

ティーンや大人向けアニメが続々とテレビ放映開始

1978年に入ると、青少年や大人も楽しめるアニメが次々に制作されるようになった。

当時の放映ラインアップを振りかえると、宇宙SFアニメの存在がやはり目立つ。ヤマトのヒットに乗っかろう、あわよくば二匹目のドジョウを捕まえよう、という狙いももちろんあっただろう。

だがその前年、世界の映画史のエポックを画したSF映画が公開されたことは無視できない。そう、『スターウォーズ』だ。

1978年にテレビ放送が始まった、宇宙SFアニメの代表作といえばやはり、松本零士原作の『宇宙海賊キャプテンハーロック』と『銀河鉄道999』だろう。

ヤマトの続編『宇宙戦艦ヤマト2』も放映スタート。それに先立って、劇場版ヤマトの続編『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』も公開された。

銀河鉄道999

ラストの鉄郎とメーテルの別れの場面では、みんなが泣いた。SFロマンの傑作『銀河鉄道999』。 (C)松本零士・東映アニメーション

ほかにもこの年は、『SF西遊記スタージンガー』『宇宙魔神ダイケンゴー』『100万年地球の旅 バンダーブック』『キャプテンフューチャー』といったスペースオペラ(宇宙活劇)調のアニメが続々とお茶の間に登場している。

SF西遊記スタージンガー

SF西遊記スタージンガー

SF西遊記 スタージンガー/(C)松本零士・東映アニメーション

これも松本零士の手になるもの。『SF西遊記』という小説が下敷きとなっており、西遊記の舞台を宇宙に置き換えて換骨奪胎したスペースオペラ風の作品だ。

宇宙魔神ダイケンゴー

宇宙魔神ダイケンゴー

(C)鳥プロ・東映

銀河系のどこかの星の王子である主人公と仲間たちが、大宇宙を舞台に平和をとりもどすための戦う姿を描いたロボットアニメ。

100万年地球の旅 バンダーブック

100万年地球の旅 バンダーブック

(C)手塚プロダクション

『24時間テレビ「愛は地球を救う」』のなかで放映された、日本初の2時間テレビアニメ。原作は手塚治虫。演出や作画も手塚が手掛け、全編の絵コンテを切ったという。遠くの惑星の王子がタイムスリップしたら地球に落下した、というような展開。

ヒマワリ

手塚先生のライフワークだった『火の鳥』にまでこの時期、宇宙船が登場します。ブームと関係あるかどうかは不明ですが、あながち無関係とも思えません。

キャプテンフューチャー

キャプテンフューチャー

©東映アニメーション

ブームに乗り遅れまいと、NHKまでSFアニメの制作に乗りだした。第1弾は、近未来SFアニメ『未来少年コナン』(地球が舞台なので、宇宙SFものではありませんが)。本作は第2弾となる。

原作は、海外の古典的SF小説。宇宙船コメット号の船長が3人の仲間と繰り広げる冒険と戦闘を描く。

ヒマワリ

この半年ほどまえに放映された『未来少年コナン』のほうが、いまとなっては有名ですネ。放送当時、僕は幼稚園児でしたが、小学生時代に再放送で観て、学生時代にはレンタルビデオ店で数回借りて観て、成人後にアマゾンプライムでまた観て、最近フルHDのデジタルリマスター版をNHKが放映していたので録画して娘と観てます。宮崎アニメではいちばん好きですネ。
放映開始その年に放映されたテレビアニメ作品
1978年『宇宙海賊キャプテンハーロック』『SF西遊記スタージンガー』『未来少年コナン』『一球さん』『無敵鋼人ダイターン3』『宇宙魔神ダイケンゴー』『100万年地球の旅 バンダーブック』『銀河鉄道999』『 科学忍者隊ガッチャマンⅡ』『宇宙戦艦ヤマト2』『新・エースをねらえ!』『キャプテン・フューチャー』

イベント、音楽集LP、関連グッズ、サークルと広がるアニメブーム

こうして宇宙SF作品が牽引役となり、アニメは新たなファン層をつかんでいく。

主題歌(OPテーマ、EDテーマ)や挿入歌、BGMを収録した音楽集LP(サウンドトラック)のリリース、『アニメージュ』(徳間書店)ほかアニメ専門誌の創刊、人気声優を集めたイベントの開催など、ブラウン管やスクリーンの外にも活躍の場を広げていった。

アニメ専門誌

『アニメージュ』(徳間書店)創刊号(1978年7月号)。

ファンたちはこぞってアニメショップで関連グッズを買いあさり、同じアニメのファンが集まってサークルを結成、情報交換やマニアックな話に花を咲かせる。いつしかアニメという言葉は、アカデミックなムードさえ漂わせるようになっていた。

子どもだけでなく、いまやティーン、学生、社会人までもが、熱病に冒されたようにアニメの世界観やキャラクターにのめりこむ。テレビまんがと呼ばれていた子どもの楽しみは、わずか数年のうちに幅広い層の人びとが楽しむ、新たな娯楽の座に押しあげられていったのだった。

 

つづく

 

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