【親子登山 in 上高地】9月末、紅葉の涸沢カールで子どもとテント泊

涸沢カール

うちの娘(小学3年生)もだいぶ山に慣れた様子。山道を歩く足どりもしっかりしてきました。

妻はもともと足腰が丈夫ですし、もうそろそろ歩行時間長めの山行計画を立てても大丈夫だろう、ということで、紅葉まっ盛りの涸沢カールでテント泊をしてきました。

ヒマワリ

妻はテントに泊まるのが苦手だというので、山小屋(涸沢ヒュッテ)にお世話になりました。

というわけで、上高地から涸沢カールまでの往復親子登山の記録です。

上高地から涸沢カールまでの登山ルート

上高地かに涸沢カールの山行ルートマップ

紫色のマーカーでなぞった登山道(ハイキング道)が、今回歩いたコースです。梓川に沿って、穂高連峰の周囲をぐるっと迂回していきます。涸沢カールをめざす登山者のほとんどが、このコースをたどります。

上高地からそのまま北へ前穂高岳登山道を登っていくルートもありますが、急坂かつ上級者向け。

地図上に赤いバッテンのマークがたくさんあります。これらは事故が起きた地点を表わしています。一目瞭然の危険地帯ですネ。黒地に黄色のエクスクラメーションマーク(びっくりマーク)は、以下のような危険箇所を示しています。

  • 遭難多発
  • 滑落注意
  • 落石注意
  • ガレ場
  • バリエーションルート

上高地は年中、交通規制が敷かれ、自家用車は通行禁止

どこが通行禁止かというと、県道上高地公園線の全区間です。釜トンネルから先へは行けません。

上高地よりずっと手前(南)、上高地の玄関口として栄える温泉町「沢渡(さわんど)」の市営駐車場(キャパ1500台)にクルマを駐車し、シャトルバスか定額タクシーに乗り換えて上高地へ入ることになります。

  • シャトルバス◎料金:往復2300円(小人1150円)◎運行:20分間隔◎所要時間:約30分
  • 定額タクシー◎料金:片道4600円(普通車)

大人4人ならタクシーを利用したほうが楽ちんですネ。5人いれば、ひとり分の運賃が浮きます。

なお、シャトルバス利用の場合、乗換専用駐車場(バス乗り場近く)の「市営第3駐車場」にクルマを停めましょう。駐車料金は、マイカー1日600円、バイク1日300円です。

定額タクシー利用の場合も、市営第3駐車場に停めるのがタクシー乗り場にいちばん近いと思います。たぶん。駐車料金は、マイカー1日700円、バイク1日350円となります。

さわんどバスターミナルの地図

© さわんど温泉観光案内所

クルマで向かう際のカーナビ設定

  • 施設名:沢渡(さわんど)バスターミナル
  • 住所:〒390-1520 長野県松本市安曇沢渡4466-52
  • 電話:0263-93-3355

ヒマワリ先生

以上は、長野県側から上高地へ入る場合でして、岐阜県側から高山市あかんだな駐車場でシャトルバスか定額タクシーに乗り換えるかたちになります。くわしくは、長野県HP「上高地交通規制について」をご覧ください。

電車とバスを使って上高地へ入る方法

図をつくりました。一目瞭然だと思いますが、あくまでご参考ということで、詳細はご自分できちんとお調べになってください。

上高地へのアクセス、電車とバスで行く方法

 

上高地から涸沢カールまでの一般コースタイム

距離は片道15キロ。往路6時間10分(以下)というのが、一般的なコースタイムらしいです。『山と高原地図』ではそうなっています。

  1. 上高地バスターミナル〜明神分岐:60分
  2. 明神分岐〜徳沢:60分
  3. 徳沢〜新村橋:20分
  4. 新村橋〜横尾:50分
  5. 横尾〜本谷橋:60分
  6. 本谷橋〜Sガレ:70分
  7. Sガレ〜涸沢ヒュッテ:50分

ただ、こういうのは全体的に長めに書いてあることが多いです。僕はほかの登山者のブログや山行記録をいくつか見て判断しています。今回のコースは、あるブログに3〜4時間だったと書いてあって、子連れでも5時間もあればいけるかな、というイメージで臨みました。

ところがです。

ヒマワリ一家の実際のコースタイム

6時半ごろ上高地バスターミナルを出発し、カールに着いたのは14時10分ごろでした。トータルで7時間40分もかかったのです。

とはいえ途中で何度か休憩をとりましたし、トイレが混雑していて、女性陣は時間をかなり喰っていました。僕も慣れないカメラで撮影しながらでしたし、よく考えたらこんなものなンでしょうネ。

ここからは写真を中心に、今回の道のりを振り返ってみます。

山行記録(9月末):上高地バスターミナル〜涸沢カール(横尾経由)

沢渡を出発、シャトルバスで上高地へ(30〜40分)

上高地から涸沢カール

沢渡(さわんど)バスターミナル。これからバスに乗って上高地へ入ります。

ただいま5時25分。夜はいまだ明けておらず。

バスが走りだしました。写真は、僕らがクルマを停めた市営第3駐車場。

バスの車内の様子。曇り空でしたが、原生林のなかを走るバスの車窓からの景観はまことにすばらしいものでした。

上高地バスターミナルに到着。30分ちょっとかかりました。夜が明けました。

それにしても空気がとてもおいしい。二日酔いの頭をキリッと引き締めてくれます。

上高地バスターミナルから明神分岐まで(60分)

ちょっと歩くと、河童橋が見えてきました。朝の日差しが峰々を照らしあげます。

空気は冷たい。標高1500メートルくらいありますから、初秋とはいえ寒いくらいです。

梓川(あずさがわ)は、ほんとうにこんな色をしています。ソーダ水のよう。南国の海のよう。

サンゴ礁があって、熱帯魚がいて、透明度のものすごく高い、南の島の海がエメラルドブルーやエメラルドグリーンなのは、プランクトンがいないから。梓川も上流のこのあたりは水温の低い雪解け水でしょうし、微生物はいないのかもしれません。

パネルに、河童橋のいわれが書いてあります。僕はこういうのをひとつずつきちんと読んでいきたいのですが、女のひとは興味を示さんですネ。でもうちの女性陣、おいしそうな食べ物を発見するセンサーは、ケモノなみに鋭敏です。

河童橋のアップ。吊り橋です。向こう側の建物は白樺荘。ホテルです。

今度は下流に向かって、もうワンショット。腕時計の針は、6時35分を指しています。

穂高連峰から流れ出た清冽な雪解け水が勢いよく流れていきます。

その昔、水泳部員だったことから、海ではどんな大波が押し寄せてきても、スイスイ泳げます。家族には河童と呼ばれています。梓川の水はほんとうにきれいで、飛びこんでみたい衝動に駆られます。

小梨平キャンプ場。ニホンザルたちがくつろいでいます。

陣馬山の裏側でも以前、ニホンザルの群れと遭遇しました。どの個体も目つきが鋭く、毛なみがわるく、粗暴な感じがして、食べ物をちらっとでも見せたら飛びかかってきそうな雰囲気で怖かったのですが、上高地の猿はみんな表情も行動も静かで穏やかです。

なにしろ毛なみがいい。

キャンパーからごちそうのご相伴にあずかっているのでしょうか。それとも、だれか餌づけをしているのか。グルーミングに夢中で、僕らにはなんの興味も示しません。

テントがふたつ。設備の整った、快適そうなキャンプ場です。

そういえば、このキャンプ場のトイレはいわくつきだと聞いたことがあります。トイレの鏡に大怪我をした自分の顔が映ることがあり、後日、それが現実になるとかならないとか、そんな話でした。うろ覚えですが。

小梨平キャンプ場を過ぎて、さらに深く森へと分け入っていきます。

美しくも雄大な大自然が両手を広げ、懐深く僕らを迎え入れてくれているようです。

多くのハイカー、登山者がなにかを見あげながら真剣に写真を撮っています。いったいなんの撮影ポイントなのか?

明神岳であります。

明神分岐に着きました。

木製の社号標が建っています。穂高奥宮(ほたかおくみや)、と書いてあります。

登山地図によると、この明神分岐から北側すぐの明神橋をわたれば、穂高神社の奥宮があるようです。明神池という神秘的な池も有名らしいです。次回は行ってみることにします。

これは明神館。お宿です。小学校の修学旅行なんかで泊まった感じの旅館です。高級ではないけれど、なつかしい。入ると売店や食堂もありました。

この翌日は大雨になります。妻と娘の登山靴が、なかまでぐっしょり濡れてしまいました。バスターミナルに着いたらすぐ履き替えたい、いますぐ脱ぎたいくらい、とかいうものですから、ここで便所サンダルをふたつ買いました。

ヒマワリ

なぜ便所サンダルかというと、履き物がそれしか売られていなかったからです。現在ベランダで活用中。

妻にカメラを奪われ、むりやり撮られました。写真が嫌いな性分です。家族で出掛けてもカメラマンに徹しています。

登山もいつもはひとり。むろん自分の写真なんか撮らない。その意味では、いつか貴重な1枚になるかもしれませんネ。

明神分岐から横尾まで(2時間)


明神館からちょっと行くと、こんな立て看板があります。

「明神登山口」「ここから先は登山の装備が必要です」と書いてあります。つまり、ここまではハイキングコース、ここからは本格的な登山になるぞ、という注意書きです。

ただこの先しばらく、横尾くらいまでは平坦な道がつづくのですが。

明神登山口からは「奥上高地自然探勝路」という名前がついています。

徳沢に到着。この時点で午前9時前。テント場というかキャンプ場があります。テント持ち込みの場合、予約の必要はないそうです。

この手前に徳沢ロッヂ、奥には徳澤園(テント越しに見える、ピンク色の屋根の建物)という山小屋があります。

ヒマワリ

山小屋といっても上高地の山小屋は、ほかの山域とくらべてかなり快適だそうです。個室があるし、お風呂もある。ごはんはおいしいし、内装も凝っていて、ほとんどペンションなみとか。相部屋も雑魚寝ではなく、2段ベッドでカーテンの目隠しがついているとのこと。プライバシーを保てますネ。

清流

森を縫うように、小川がさらさら〜と流れています。よその国にいるみたい。

横尾にやってきました。かなりひとが群れています。

正面の大きなログハウス風の建物はトイレです。大混雑です。女性用なんて行列ができていました。その先に食堂とか横尾山荘とかがあります。

上高地バスターミナルからここまで10キロ弱、ここから涸沢カールまでが5.3キロですから、距離的には3分の2くらい歩いた計算になります。

ただし所要時間(標準コースタイム)は、それぞれ2時間10分と2時間。僕らは3時間と3時間半かかりましたから、実際はここから本格的な登りになるわけです。

そうと知らず、僕らはこのとき余裕をぶっこいていました。

横尾キャンプ場。10張り以上のテントがありました。ここでキャンプも楽しそうです。

テン場の先に梓川。正面に左の白い山は前穂高岳、かなあ⋯⋯。自信はない。

横尾大橋の前では記念撮影をするひとが後を絶ちません。ひとが途切れた瞬間を狙って、ハイ・チーズ。

横尾から本谷橋まで(60分)

横尾大橋のうえから梓川を望む。

大橋というほど大きな橋ではありませんが、木製の吊り橋には風情を感じますネ。

横尾山荘を振り返っての1枚。

ここにきて、ようやく山に登っているぞ、という気分を味わっています。汗が吹きだします。

横尾谷を進んでいくと、左手にロッククライミングのメッカである屏風岩が見えてきます。高さ600m。

本谷橋に到着しました。横尾から2.8キロ。妻と娘は、ちょっとお疲れモード。

本谷橋は休憩ポイントですので、多くの人たちがひと休みしています。とてもにぎやか。

本谷橋を渡りましょう。

すこし休憩。水分と甘いものを摂取して、先へ進みます。

本谷橋から涸沢カール、涸沢ヒュッテまで(2時間半)

涸沢・穂高岳へとつづく道をいきます。目に映る景色がこれまでとは全然ちがいます。

穂高連峰の主稜線らしきものが、目の前にドーン!

北穂高岳(?)もドーン!

そういえば、本谷橋から先の道で50〜60代の方の転倒が頻発しているようです。重症を負った方もたくさんいます。

登山道の幅が狭いうえ、位置的に登山者と下山者がちょうどすれちがう場所だからでしょうか。あるいは、ここまでの疲労の蓄積が原因でしょうか。その両方でしょうか。

よくわかりませんが、これから行かれる方はご注意ください。

Sガレという名のガレ場を通り過ぎます。歩きにくいったらありゃしない。

雄大な景観がつづきます。ついついカメラを構えてしまいます。

前方にカールが見えてきました。あともうすこしだ! と娘たちを元気づけながら、じつは自分にハッパをかけています。

昨夜は飲みすぎました。そのまま一睡もせず、深夜に東京から長野までドライブしましたもので、そろそろ体力も限界。もう眠くてしかたありません。

紅葉がきれいです。

道標に目的地の名前があります。ここはもう「涸沢」。

カールまであともうちょっとだ。

すでに紅葉は見慣れ、倦まず弛まず(うまずたゆまず)風景を熱心に撮影する同胞たちのほうに興味が移っていました。それでこんな写真を撮ったりしているわけです。

が、今回はいつものNikonでなく、使い慣れていないPentaxQ10という超小型のデジタル一眼レフをもってきたため、知らぬ間にモードダイヤルを回してしまい、しかもそのことに帰宅するまで気づきませんでした。

結果、ほぼすべての写真が露出オーバー。トホホ。

やってきました、涸沢カール。

写真の正面右、岩肌にへばりつくようにして建っているのは涸沢小屋。この反対側に、妻が今夜お世話になる涸沢ヒュッテがあります。

現在時刻は午後2時20分なり。

ヒマワリ

涸沢ヒュッテは全容がつかめる写真が撮れませんでした。というか、そういう写真はカールの上から狙わないと撮影できない。そして僕らは穂高連峰の山には登っていない。写真は借り物ですが、こんな感じです。
涸沢ヒュッテ

「北穂高岳中腹から見た涸沢ヒュッテ」撮影/E-190さん(wikipediaより)

テン泊に予約は不要です。写真左の茶色の建物でひとり2000円の幕営料を支払い、テントにぶらさげる証明札をもらえばOK。受付時間は、午後2時ごろから5時まで。

ちなみに受付時、コンパネ板(大きなベニヤ板みたいなやつ)をレンタルすることもできます。見てのとおり、このテン場はガレ場。どこに幕営しても床がゴツゴツです。旅先で「うちの枕がないと寝れないんだよね〜」とかのたまうデリケートなタイプ(僕)は、100%眠れませんネ。でもコンパネ板があれば大丈夫。ひとりぶんの平地が確保できますので、今宵は素敵な夢が見られることでしょう。

ただし数にかぎりがあるため、早いもの勝ちです。

ヒマワリ

え? 僕らはレンタルできたか?

ご覧のとおりテントの床下には、角のある大きな石ころがごろごろ転がっています。コンパネ板、残念ながら1枚も残っていませんでした。

今夜も徹夜かあ⋯⋯。

午後4時ごろのテン場。もっとテント密度が高く、ギッチギチかと思っていました。想像していたより、今日はずっと空いている印象です。

夕食はカレーでした。メスティンでごはんを炊き、3種類のレトルトカレーを温めて、みんなで食べました。ほかにもいろいろ食べたはずなンですが、思いだせません。すでに焼酎お湯割りを2杯ほどたしなんでおり、これがまた疲労困憊の身体にすうっと染みわたりまして、記憶が飛んでいます。

この写真を撮っているのは僕のはず。でも撮った記憶はありません。

翌日は、朝から雨降り

夜中に雨が降りだし、朝を迎えてもやむ気配がありません。この日は結局、ずっと雨でした。

午前8時の涸沢ヒュッテ。山の朝は早い。この時間、ほとんどの登山者はすでに山小屋を発っています。

ところが僕らはまだここにいる。なにせひと晩中、ゴツゴツした岩のうえで身悶えしながら寝返りを打っていましたもので、身体のあっちこっちが痛む。

もちろん一睡もできませんでしたヨ、ハイ。

というわけで、起きあがる気力が湧かず、朝食をつくって食べて、だらだらとテントなどを撤収していたら、こんな時間になっていたのでした。

ヒマワリ

娘は熟睡してましたヨ。彼女はどこでも寝られるタイプ。心底うらやましい。妻は山小屋泊。お布団でぐっすり眠ったそうです。

雨の上高地をバスターミナルまでのんびりそぞろ歩き

涸沢ヒュッテから上高地のバス停までのんびり歩いて戻ったら、もう夕方でした。最終バスになんとか間に合った次第です。あぶなかった。

途中、横尾の食堂で食事休憩をとったり、徳澤園や明神館に寄ったりしていましたから、実際に下山にかかった時間はちょっとわかりません。

そういえば、カールと本谷橋の途中で、お年を召された女性が足が思うように動かなくなったとかで倒れておられ、ほかの登山者といっしょにしばらく介抱していました。大丈夫ですから、と繰り返して仰っていましたが、ちゃんと山小屋へたどり着いたかなあ。

とにかくいつになく時間のかかった山行でした。

帰宅後、また行きたいなと思いましたので、そう妻と娘に告げました。すると、ふたりとも妙な顔をして顔を見合わせるばかりで、返事はありませんでした。

次回はソロだな。

おしまい

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