いくら切羽詰まっていても衛生面には気をつけなければならない。ことに、料理をするときにはそれが大事だ。その基本を忘れると——たとえば、汚れた手で食べ物に触ると——かならず報いを受けることになるし、生き延びる能力を損ねかねない。些細な下痢でも脱水を起こし、体力を消耗しかねない。
だから、きちんと決めた習慣を守る。1日に2度、顔と手と足を洗い、歯を磨く。調理の前にはかならず手を洗う。流れる水がないときには、手に入るものでやる。露に濡れた茂みで手をこするか、乾燥した土でこするというやり方でも、やらないよりはずっとマシだ。
もくじ
獲物
ひとりで大きな獲物を狩ると、たいへんな時間とエネルギーがかかるし、危険な場合が多い。それに、肉は少ししか運べないので、大部分が無駄になる。ウサギ、ヘビ、トカゲ、鳥など、小さな獲物を狩るほうがいい。
ウサギ
まず内蔵を抜き、皮をはぎ、頭と足(先の部分のみ)を切り落とす。尖った枝に刺して、炭火のうえでまわしながら串焼きにする。
ヘビ
首を切り落とし、皮をはぎ、内臓を抜いてから、肉を薄切りにする。炭火で焼くのがいちばんうまい。まるごと枝に巻きつけて、両端をツルで縛ってもいい。これでも焼けるし、時間がかからない。
トカゲ
頭と内臓だけはとらなければならない。皮はそのままで、炭火で焼く。
鳥
頭と羽と内臓をとらないほうが、てっとり早い。できるだけ早く血抜きをしたほうがいい。血は栄養が豊富なので、捨てないで飲む。暖かいうちのほうがうまい。木の葉か薄い樹皮にくるみ、炭火にじかに載せて焼く。
魚
内蔵を抜き、ウロコはそのままで、木の葉か樹皮にくるんで焼く。焼けるとウロコは皮ごと剥がれて、ちゃんと加熱された身が出る。目玉は抜け落ちるのが、できあがりのしるし。
食料の保存
食料を虫や捕食動物が嗅ぎつけない工夫ができるときには、かならずそうする。やわらかい果物やベリー類は、木の葉か苔にくるむ。海岸にいるときには、魚介類を海藻でくるんで乾かないようにする。それから、シェルターやキャンプしている場所には、絶対に食料を置いてはいけない。そういう食料も人間も餌だとみなすような、ありがたくない客がやってくるかもしれない。恐ろしいハイイログマやヒグマがいるロッキー山脈にいるとき、私は食べ残しをすべて缶に入れて、キャンプから100メートル以上離れた木の枝に吊るしておく。
肉の保存
鹿のような大きな獲物を殺すことができ、なおかつ食料が不足するとわかっているときには、肉を干すか、いぶす——それも新鮮なうちにやらなければならない。処理を終えるのに、同じ場所に2、3日いなければならないので、毎日移動しているときにはやらないほうがいい。
動物は(人間もだが)体重の70%が水分だから、水分がなくなった肉は運ぶのも楽になる。脂肪は肉と別にして火を通し、食べたほうがいい。脂肪は乾燥しないし、ばい菌が増えやすい。処理した動物は細長く切り裂くと、表面積が増えて、乾燥しやすくなる。
45度に傾けて、杭を何本も地面に刺し、どの肉も日光と空気にまんべんなくさらされるように、生肉をぶらさげる。ハエが多いときは、じわじわと燃える火の煙でいぶしたほうがいい。それには樹皮を燃料に使うのがいいが、モミやマツは煤(すす)が出るので避ける。
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『究極のサバイバルテクニック』ベア・グリルス著(朝日新聞出版)
