Webでモノを売る時に役立つコピーライティング術

コピーライティングのイメージカット

物販サイト運営でかならず必要な、コピーライティングのテクニックについてまとめます。広告の宣伝文句をつくるのではなく、商品レビューをどう書くか、ということがテーマ。

すでに自サイトからたくさん商品が売れている、という方は時間の無駄です。ウィンドウを閉じて、ご自身の方法論に磨きをかけてください。アクセスがあるのに全然成約しない、CTR(広告のクリック率)が1%以下と低い、こうした悩みを抱える方に向けた記事です。

ビジネス用語やマーケティング用語をこねくりまわし、煙に巻くつもりはありません。ぼくが実地に学んだことを、ぼくの言葉で書きます。実例も引いて解説します。

ライフスタイルを明確にイメージさせる

食料品など生活必需品をのぞき、ぼくらが一般品(贅沢品)を購入しようとするとき、本当にほしいのはモノではなくて、それがある暮らしです。

たとえば、3Dテレビがあれば、テーマパークのアトラクションのような立体映像を、自宅で家族で楽しめます。デジタル一眼レフがあれば、旅先で撮った写真はこれまでの何倍もビビッドで味わい深いものになるでしょう。

居心地のいいソファを買えば、休日は恋人とゆったり腰掛け、まったりとした時間を過ごせるかもしれません。フランス製のあの万年筆があれば、趣味の小説執筆がうんとはかどるにちがいありません。

こういうことが明確にイメージできると、人は購買行動を起こします。

だから、物販サイトでレビュー記事を書く際、ぼくは読者に次の3つを明確にイメージしてもらうるよう、心を砕いています。

  1. それがあれば、どんなライフスタイルが手に入るのか。
  2. これまでの不便がどう解消できるのか。
  3. ないと、どういった問題が起こるのか。

①がもっとも重要。③は②の換言ですが、狙いは “脅迫” です。

脅迫、などいうと粗野でお下品ですが、きれいごとを抜きにしていってしまえば、この世の中は「脅し」でなりたっています。

  • 「これがないと、こんなに不便だよ」
  • 「これを使わないことで、これだけ損をしているよ」
  • 「これを知らないと、周囲から取り残されるよ」
  • 「もうみんな使っているよ」

こうした言葉が身のまわりにあふれかえっています。コマーシャリズム(商業主義)というのは元来、そういう性質のものです。

この①②③がしっかり伝われば、Webサイトのデザインや文章が多少まずくても、商品は売れます。半面、①②③がそろわなければ、どんなにデザインや文章に凝っても売れません。

そんな経験から、ぼくは見た目やうわべのコピーライティング術などはすべて、副次的な問題なのだと痛感しています。もちろん、うわべに手をかけて成約率をあげることはできます。けれど、ゼロになにを掛け合わせてもゼロなのだということです。

ぼくの主張を、明確にイメージしていただくため、ここで実例を引きます。次の2つの記事を読みくらべてみてください。

2本のレビュー記事を比較

左側は、ネットスーパーの広告を掲載している、あるサイトの記事です。そのネットスーパー名で検索すると検索結果の1ページ目に表示されます。よくあるパターンのレビューです。多少リライトして、引用しています。右側は、生活がどう変わるかを明瞭にイメージできるよう、ぼくがリライトしたものです。左を下敷きにして、いま書きました。

ここへ、

  • ネットスーパーを利用すれば、買い物の時間が節約できる。
  • その結果、家族と過ごす時間が長くなる。
  • ネットスーパーがないと、雨の日はびしょ濡れだ。
  • 重たい飲料ケースなどを買うと、運ぶのもたいへん。

といった内容を加味すれば、先の①②③は全部カバーできます。どちらが興味をそそるかは、人それぞれですが、少なくとも商品のメリットをだらだらつづっているだけでは、読者のハートは震えません。

家電量販店のトップセールスマンは、機能について聞かれたら、技術的な話はそっちのけで、その機能がどんな生活シーンで生きるかを自分の体験もまじえて語ります。できない売り子や営業マンは、値引きの話ばかりします。

“脅し” は、できるかぎり上品にさりげなく

ぼくらが店頭でなにかに目をとめ、それをほしいと思うとき、安価なものならともかく、数万円ともなると、即買いの英断はなかなかくだせません。

たいていは、

  1. 商品との運命的な邂逅(出会い)があり、
  2. ほしいぞ、と思ったが、その場では買わず、
  3. 後日、なにかの拍子に思いだし、
  4. いまあれがあるとよかったのに、とか想像したりして、
  5. 何度かそれを繰り返すうちにほしい気持ちがふくらんでいき、
  6. 買いに走る。

というようなプロセスを踏むものです。

物販サイトの運営においても、一見さんに買ってもらおうとしたところで、なかなかうまくいきません。たとえ売れたとしても、その方はすでにほかのサイトでも検討を重ねていて、たまたま最後に自分のリンクを踏んだだけ、と考えるのが妥当かと思います。

物販サイトのなかには、誇大広告といっていいくらいの過剰な宣伝文句が書かれたものも少なくありませんが、本当は「おすすめ」とさえ書かずに、その商品が存在するライフスタイルを伝えたら、あとは淡々と商品説明に徹したほうがいいのです。

売るために「脅し」は必要です。けれど、あからさまなあおりや過剰な脅しはゲスで安っぽい。消費者の心にじわりじわり染みこんでいくようなレビュー記事が書けるよう研鑽を積む努力が必要です。

 

あとがき

大学卒業後の数年間を、ぼくはある商社で過ごしました。

IT機器やAV機器のシステムを売る仕事で、最初の上司は、社内で2番目の嫌われ者という、いわくつきの人物でした。

1番はその上司の上司でした ^^

新入社員研修が終わり、配属先へ出勤したその日から、上司のパワハラの幕が切って落とされました。いじめといっていいほど苛烈なものでした。よその部署の先輩や管理職たちが口をそろえて、「異動願いをだせ」というくらいでしたから。

もちろん、社会人1年目の新人にそんな思いきった行動がとれるはずもなく、ぼくは従順に命令にしたがい、新規開拓に駆けずりまわる日々を送ることとなりました。

商品知識も営業スキルもない新人の飛び込み営業です。まともに話も聞いてもらえません。大人たちから虫けらのような扱いを受け、極度の緊張とストレスによって、昼食を何度戻したことか。

そんなぼくを尻目に、同期はみんな、やさしそうな上司や先輩のもとで、のびのびと研修に参加し、飲みに行き……。

でも、あのスパルタ教育から得たものもたしかにあるのです。その後、何度かの転職を経て、現在はフリーランスとなりましたが、あのころの経験が要所要所で自分を助けているな、と感じるのです。

人間の記憶というものはまか不思議なもので、いま振りかえると、あのころのざわついた心は、もう実感をともなってよみがえってはきません。退社の日、ムーミンの描かれたかわいいネクタイを餞別代わりにくれた、上司の笑顔がまっ先に浮かんでくるのです。

1年間くらい経ったころ、上司の態度に変化のきざしがみられました。ぼくが新規開拓した得意先から大きな仕事をとってきたことがきっかけでした。その後、少しずつ関係がよくなっていきました。いまも年賀状のやりとりをしています。

photo credit: JoelMontes via photopin cc

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