2番ではなく、1番にならないといけない理由

一番を目指すランナー

民主党の蓮舫議員が、かの「事業仕分け」で放った迷言は、いまだぼくらの記憶に新しいですね。

――2位じゃダメなんでしょうか?

この発言に猛反発された方もいたようですが、ぼくの身辺では、あれを聞いて「そうだ」と膝を打った方も多かったように思います。1番の価値を知らない方が多いことのあかしですね。

そういえば、娘の保育園では、運動会のかけっこで順位をつけるのを嫌って、走り終わった子は全員、1番の旗のうしろにならんでいます。お遊戯会のお芝居では、ピーターパンとウェンディが何人もいるから、わが子がどこにいるのか皆目、見分けがつきません。

順番をつけると、差別になるとでも思っているのでしょうか。ひょっとすると、自分の子が主役でないことにクレームをつける親がいるのかもしれません。MP(モンスターペアレント)対策なのかもしれませんが、順位づけ自体にはなんの問題もないし、これから生き馬の目を抜く競争社会に放りこまれるというのに、そういう屁の突っ張りにもならない保護をやったところで無意味です。

1等賞になることの値打ちははかりしれません。2等とはまるで別物です。どうして2位じゃダメなのか、について、蓮舫議員まで届け、という気持ちで書いてみたいと思います。

1番と2番は雲泥の差、値打ちははかりしれない

まず、1番になるとこんな特典がある、ということを、仕事をテーマにしたブログですもので、ビジネスシーンを舞台に挙げてみたいと思います。

お客さんがまっ先に思いだしてくれる

山なら富士山、新婚旅行ならハワイ、テーマパークならディズニーランド、コンビニならセブンイレブン、フライドチキンならケンタッキー……。見込み客の頭に、最初に浮かぶのは1番手です。そのメリットは、あらためて語るまでもありません。黙っていても、お客さんが集まってきてくれます。

優秀な人材が集まりやすい

就職や転職を考えている人たちがまず意識し、働きたいと願うのは、ほとんどの場合、業界ナンバーワンの会社です。優秀な人材が向こうからやってきてくれます。業界で1番をとると、競争力はますます高まります。

対外交渉力があがる

お客さんに対して、強気の値付け、価格交渉がおこなえるようになります。原料や資材などの仕入れ先に対しては、強圧的に値引きをしいることも(やるかどうかは別にして)可能になります。この結果、商品力を高めたり、利益率をあげたりすることができます。

ナンバーワンをめざすのはお下品?

こんなふうに、1番になるメリットはいろいろです。

SMAPが「世界に一つだけの花」で、

 

ナンバーワンにならなくてもいい。
もともと特別なオンリーワン。

 

と歌ってから、世間に妙な誤解がはびこってしまい、

 

それなのに僕ら人間は
どうしてこうも比べたがる?
一人一人違うのに
その中で一番になりたがる?

 

などと、1番になろうとする人間をやさしい声でとがめるものだから、なんだか1番になるのが下品なことのように思えてしまうのですが、オンリーワンというのは、ニッチな世界のナンバーワンのことです。大きな世界で1番になるのが難しいなら、小さな世界で1番を狙えばいい。大きな世界で5番や10番にいるより、そのほうがメリットは大きいし、目の前が広がります。

営業マンをしていたころ、ぼくは半期ごとに拡販する商品を自分で勝手に決めていました。手乗りコンピュータや家庭用生ゴミ処理機(世間に出回る以前の、物置きのように巨大な代物)など、ヘンテコな商品を見つけてきては、これはどうやったら売れるかしらん、と頭をひねるのが楽しみでした。飽き性なので、モチベーションを維持するため、という側面もありました。

そういうニッチな商品なら、真剣にとりくめば、売り上げ日本一になることもたやすいものです。それでも、メーカーのお偉いさんの歓待にあずかったりできるのです。入社2~3年目の若輩者がです。2番手では、この展開はありません。2番手も経験済みですからわかります。

ここで、次の質問にお答えください。

  • 【質問1】日本で1番高い山と2番目に高い山は?
  • 【質問2】日本の初代内閣総理大臣と2代目総理大臣は?
  • 【質問3】世界で1番面積の広い湖は? 2番目は?

1番は、ほとんどの方がすべて正解なさったことかと思いますが、2番はいかがでしょうか(答えは一番下)。全部わかったという方は、少ないのではないでしょうか。2番手以降は、悲しいくらい人々の印象や記憶に残りません。ところが、1番になると、新しい世界が一気に開ける。人脈がぐいぐい音を立てて広がっていきます。

古い話で恐縮ですが、学生のころ、ぼくは地区万年4位の水泳選手でした。ところがある日、1位をとりました(同じ日にもっと大きな大会が別の場所で開かれており、トップ層がそろってそちらへ出場していたため)。翌日の全校集会で、校長がそれを発表します。すると、みんなの見る目ががらりと変化したのです。あのときも、世界ががらがらと音を立てて崩れる感じを味わいました。

1番になってみないとそういうことはわかりません。

なんでもいいから1番になれ、とうちの子には教えています。

 

質問の答え/【質問1】伊藤博文、黒田清隆【質問2】富士山、北岳【質問3】カスピ海、スペリオル湖(いずれも1番、2番の順)

photo credit: oscarandtara via photopin cc

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