紀元前484~424年。小アジア生まれ。ギリシアの歴史家として、もっとも有名。諸方を遍歴し、著書でペルシア戦争を中心に、東方諸国の歴史と伝説、アテナイやスパルタの歴史を書き残した。
その著書につけたタイトルは、直球どまんなかの『歴史』。歴史の父、と呼ばれており、戦争に勝つも負けるも神の御心、というそれまでの思考体系ではなく、歴史を学問としてとらえようとした。
この点で、ヘロドトスが歴史学の礎を築いた、といっていい。
この時代、学問はすべて哲学から派生し、哲学に収斂できた。現代の学問はさまざまに体系化され、細分化された分野の集合体となっているが、当時は学問の黎明期だったのだ。
この意味で、考えることによってなにかを切り拓こう、見つけだそう、とした人ひどはすべからく哲学者であった、とぼくは考えている。もちろん、ヘロドトスもそのひとりだ。