写真/イリアスの表紙(1572年・Rihel社)
『オデュッセイア』とならぶ、古代ギリシアを代表する長編叙事詩だ。書いたのはホメロス。
全24巻。ギリシア最古最大のボリュームを誇る。10年間にわたるトロイア戦争中の49日間の出来事を、トロイア軍とギリシア軍の戦況の推移を軸にして描いている。『オデュッセイア』は、英雄オデュッセウスの冒険譚がメーンプロットだが、こちらはアキレスの怒りがメーンテーマだ。
あらすじ
ギリシア軍総統のアガメムノンに、恋人を強引に略奪された勇者アキレス。はらわたが煮えくりかえる思いを味わった彼は、トロイア戦争から身を引いてしまい、その結果、さまざまな悲劇が引き起こされることとなる。物語にはアキレスやオデュッセウス、ヘクトルといったたくさんの英雄、最高神ゼウスや美の女神アフロディーテ、海神ポセイドンなどの神々が登場。英雄たちの悲運と、戦争のえげつなさがこれでもか! とばかりにダイナミックかつ仔細につづられていく。