マインドマップで、アイデアが続々と湧いてくる

マインドマップのサンプル

マインドマップという思考技術をご存じですか? ビジネスの世界では、もう数十年も前から用いられています。

マインドマップの特徴は、考えていることや、記憶していることを、単語や色、イラストを使って図示する、という点にあります。これにより、物事を整理して考える能力が養われます。人間の脳はもともと、色や絵、映像を使って考えていますから、マインドマップで描いたイメージは記憶しやすいし、アイデアを生む助けになります。ぼくもずいぶん前から使っていますが、その説には納得です。

たとえば、新しい仕事にとりかかったころ――。

いろいろな情報を詰めこみすぎて、頭のなかは台風が通りすぎたあとみたいにゴチャゴチャですね。そこで、マインドマップの出番。マインドマップで、頭の中のもつれあった情報を視覚化してやると、情報と情報をつなぐ糸がほぐれ、頭のなかがすっきり整理できます。

いまでは、アイデアを生むのに欠かせないプロセスです。新しい発想がどんどん湧いてくるし、考えること自体が楽しくなります。

具体的なやり方を説明します。

マインドマップの描き方

実際にやってみるのが手っ取り早いと思いますので、まずはごく簡単なテーマから。

テーマ:自分の好きなもの

子どもにマインドマップを教えるとき、よく利用されるテーマです。手順は次のとおり。

  1. 白紙を用意する。
  2. 中央に、ピンク色のハート形を描く。
  3. そこから枝を何本か伸ばす。
  4. それぞれの枝の上に、運動、色、友だち、勉強など、好きなことを書いていく。
  5. さらにその先に複数の枝を伸ばす。
  6. 枝の上に、より具体的なものを書く。運動なら野球やサッカー、色なら赤や青など。

子どもの書いたマインドマップ

枝はどんどん伸び、短時間に好きなものが整理されていきます。大事なのは、線の太さや色、文字の大きさなどを変化させて、イラストも添える、ということです。視覚に訴えるカラフルなものを目指します。

この方法でノートがとれるようになると、子どもの成績はみるみるあがります。勉強が楽しくなります。

テーマ:哲学

次は、哲学をテーマにしたマインドマップを描きます(内容はテキトーです)。

哲学のマインドマップの例

いかがですか? 文書で説明するより、ずっと全体像が把握しやすいと思いませんか? 最初のうちは手書きで感触をつかむようにしてください。手を動かすと、頭のなかが整理されやすいという利点もあります。

ぼくは横着者なので、最近はマインドマップツール(アプリケーション)で描くことも多いです。使っているのはこちら。

XMind

マインドマップツールはほかにもたくさんあります。いろいろ試してみましたが、現状は「XMind」がベスト。きれいなマインドマップが簡単に描けます。有料版もあるようですが、無料版で十分です。

仕事やサイト制作に、マインドマップは大活躍

マインドマップは、企画や戦略の立案に役立ちます。ビジネスの現場で、重宝がられているのはそのためです。

ぼくは、原稿を書くときに使っていました。資料を渉猟し、あちこち取材して、たくさんネタが集まったのはいいのだけれど、情報が未消化で、書きだせないことがよくあります。こんなときは、布団に入るまえにマインドマップを描いておきます。

すると、あら不思議。翌朝には、頭のなかに完璧な原稿ができあがっているのです。

むろん、いつもというわけにはいきませんが。

クリエイティブな作業にとても役立ちますので、Webサイトやブログを運営されている方は、使わない手はありません。まっさらなコピー用紙を用意して、中央にメインテーマを描き、気の向くままに枝を伸ばしていけば、悩むこともなく、いつの間にか、抜かりのないサイト構成が完成しています。

 

あとがき

マインドマップはウォルト・ディズニーやGM、IBMほか、世界の名だたる企業で採用実績のあるツールです。全世界で数億人が使っています。

生みの親は、トニー・ブザンさん。1942年ロンドン生まれですから、もうおじいちゃんです。

ブザンさんに以前、取材させていただいたことがあります。映画のセットのように豪奢な応接室でした。ソファはふかふか、テーブルは膝よりも低く、たいそうメモをとりづらかったことを覚えています。

ブザンさんは学生時代、大学の勉強があまりにもハードだったため、もっと効率的に脳みそを使う方法はないものかと思い悩み、図書館で本を探したそうです。けれど、司書は彼を医学書の棚まで連れていき、「そんな本はありません」と冷たいひとこと。

そんなバカな、と思ったブザンさんは、これをきっかけに、脳の神経生理学、心理学、神経言語学、情報理論、記憶力、記憶術、創造的思考法など、さまざまな分野を10年近くかけて勉強し、マインドマップを完成させたそうです。

それを、まず学習障害や失読症の子どもたちの教育に役立ててみたといいます。子どもたちの成績はたちまち急上昇しました。クラスで一番になった子もいれば、落ちこぼれだったのが、大学を首席で卒業した学生さんも。なかには、IQが160まで伸びた子もいたそうです。

こうして、マインドマップは急速に世界中へ伝播していきました。

物腰のやわらかい英国紳士でした。けれども、話していると、眼球の底でときおり、鋭利な、理知的な光がひらめきます。

ブザンさんはたぶん天才ではないと思います。天才なら、苦労してこんな思考技術を産み落とす必要はなかったはずです。思考技術を鍛え、向学心をもって生きていけば、凡人だって才人に近づける、そんなことを、ぼくはブザンさんから教わった気がします。

マインドマップを使いだして、はや10年。色鉛筆を用意し、白紙を目のまえにしたときのワクワク感は、いまもおとろえていません。

photo credit: jean-louis zimmermann via photopin cc

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