ネット証券は、手数料だけで選ぶと失敗する

投資情報ツール

ネット証券を選ぶ際、まっ先に注目すべきは手数料です。オンライン取引は証券マンに投資相談をもちかけることができないぶん、料金は安くないと話になりません。

といっても、あまり格安な証券会社だと、今度は必要最低限の情報もないことがあります。会社情報や投資情報、商品ラインアップは、自分の投資スタイルと相談しながら、しっかりチェックしましょう。

投資情報ツールへの目利きも必要です。願わくは、自動更新株価や最新株式ニュース、チャートなどの表示機能があり、株価の推移から相場の先行きを予想し、売買タイミングを読み取る“テクニカル分析”がおこなえるものを。テクニカル分析は初心者には敷居が高いものの、経験を積むうちにかならず使ってみたくなる代物です。

ほかにも目を光らせたいポイントがあります。たとえばコールセンターの受付時間。楽天証券は平日21時まで、大和証券なら平日22時までオペレータとの通話が可能。会社員には好都合ですね。

また、サイト画面の見やすさも大切です。要素自体はどこもほぼ同じですが、画面構成は証券会社によって大きく異なります。

数あるネット証券から、自分にぴったりのサービスを選ぶ

ネット証券を選ぶ際に注目したいポイントを、優先度の高いものから順番に解説していきます。

手数料の安さ

株取引の際にかならず必要なのが売買委託手数料です。基本は1約定あたりいくらといった手数料体系で、約定代金の何%といったケースや約定代金に応じて段階的に手数料が発生するケースなどがあります。

目安としては1000円を少し超える程度。安すぎる証券会社は極端に情報量が少ないなどサービスが貧弱なことが多いからです。

1日あるいは1か月単位での定額料金を導入している証券会社もあります。ひんぱんに売買を行うならこちらを選びましょう。

大和証券などの総合証券では、売買手数料以外にも年額1620円の口座管理料金が必要となります。以下は、最低手数料が無料となる証券会社です。

情報の充実度

企業情報や投資情報がネット経由で手軽に入手できるのはオンライントレード最大の魅力。ネット証券各社は、四季報や金融情報ベンダーとして定評のあるQUICK社の情報、ニュースなどによる情報提供をおこなっており、情報量はほぼ横並びです。

差異化のポイントは、日経4紙の過去記事が検索できる「日経テレコン21」やアナリストレポートの有無。前者は大和証券丸三証券が無料で提供中。後者は自前でアナリストを抱える大和のものなら安心感満点。大和総研のレポートまで見られます。

また、カブドットコム証券などでは、有料な場合の多いリアルタイム株価の自動更新サービス(下画像)を無料で利用可能です。

リアルタイム株価予測の画面

商品ラインナップ

前向きに資産運用を検討しているなら、国内株式だけでなく、投資信託や、ポートフォリオを組む際の微調整に使えるミニ株もほしいところです。

ミニ株は売買単位の10分の1から買えるので、いきなり数十万の大金を投じるのが怖い初心者に向いています。ミニ株を取り扱っている証券会社には、SBI証券マネックス証券などがあります。

一方、中国株や新規公開株(IPO)にも注目したいところ。先物・オプションといった高リスク商品も興味のある方は注目してください。

新規公開株(IPO)というのは、新たに店頭に登録、あるいは上場する企業の株式のことです。公開後に株価が急上昇することが多いです。先物・オプションは、株や債券、金など元になる商品から派生した取引のことです。将来の一定期日に取り決めた値段でこれらを売買する契約を先物、売買する権利を売買することをオプション取引といいます。どちらも高リスク商品です。

投資情報ツール

投資情報ツールにはブラウザ上で即利用できるタイプと、専用アプリケーションをインストールするタイプがあります。後者は一般に画面展開が速く、通信速度も速いのが特徴です。

もっとも評判が高いのは、楽天証券が独自開発した「マーケットスピード」。直感的な操作が売りのインターフェイスとソフト上での売買機能により、当代一との誉れが高いのです。

ぼくのお気に入りは、カブドットコム証券の「kabuステーション」。高機能ですし、使い勝手も上々です。

なお、投資情報ツールのチェックポイントは次のとおり。

株価

株価の画面銘柄の現時点の株価から、証券取引所で売買が成立した総株数を表す出来高、その日の最初と最後の値段である始値、終値や一番高い値段と安い値段である高値、安値などが表示されています。

午前中の取引のことを前場、午後の取引のことを「後場」と呼び、東京証券取引所では、前場は平日9時~11時、後場は12時30分~15時となります。

注文状況

注文状況(板)画面売買の注文が値段ごとに何株あるかという分布状況を表す「板」で注文状況を確認。左側が値段、右側は売り買いの注文数を表しています。その銘柄が「売り気配」なのか「買い気配」なのかも一目瞭然です。

「気配」というのは、いくらで売れそうか、買えそうかといった売買の目安となる値段のことです。買い注文ばかりが目立つことを「買い気配」、逆を「売り気配」といいます。

銘柄の詳細情報

銘柄が成長株かどうかを判断する目安となるROE(株主資本利益率)やEPS(1株当たり株主資本)、割高か割安かを判断する材料となるPERやPBRなどの情報は、活用すれば確実な投資への第一歩になります。どの指標をチェックすべきかは投資スタイルによって異なります。

PERは投資価値を示す尺度で、その銘柄が割高なのかどうかがわかります。一方、PBRは1倍に近づくほど株価が割安であることを示しています。

買い/売り注文

売買する数量や成行、指値といった注文方法などを選んだら、いざ注文です。売買価格を明示して注文することを指値。価格を明示せず、銘柄と株数だけで注文することを成行といいます。

注文画面

会社情報

四季報は多くの証券会社で無料閲覧可能です。日経会社情報やQUICK社の情報を提供するところもあります。銘柄の目星がついたら、会社情報で業績の裏づけをとり、将来性を判断します。

四季報の情報

チャート

株価や出来高などの推移をチャート化したものです。1日の動きを表すものは日足、週の動きは週足などと呼ばれ、銘柄のトレンドやパターンを認識し、将来の値動きを読み取るのに利用します。

チャート画面

ニュース

その銘柄に関連する株式新聞やフィスコ提供のニュースがリアルタイム表示されますから、直近の動向もがっちり把握できます。

ニュース画面

サポート体制

まず確認すべきなのは、サイト上のQ&Aやヘルプ情報が質量ともにしっかりしているかどうか。

次にコールセンターです。電話はすぐにつながるか、たらい回しにされないか――こうしたことは実際に電話をかけてみるとチェックするのも一手です。

パソコンの調子が悪い場合などに電話で注文する可能性を勘案するなら、コールセンター経由の売買手数料もチェックしておきましょう。ネット専業の証券会社の場合、ネットの4倍程度の手数料が必要なところもあります。

そのほか

約定や株価が指定の金額になったことをメールで知らせてくれる通知メールもあると便利です。外出先でいちいち株価チェックをおこなう手間が省けます。

ちなみに証券会社のシステムが株価をチェックする間隔は一般に数分~20分程度だが、カブドットコムでは完全リアルタイムを実現しています。

条件注文も重宝します。対応しているのは楽天やカブドットコムなど。逆指値がポピュラーですが、指値と逆指値の機能を併せもつツイン指値や、買い注文の際に売り注文まで予約可能なUターン注文など各社さまざまな注文形式を用意しています。会社のトイレでスマホやケータイ片手に売買をおこなう“トイレトレーダー”には垂涎ものの機能です。

逆指値というのは、売買注文時から「指定の株価まで下落したら売り」「指定の株価まで上昇したら買い」とする、通常の指値注文と正反対の注文形態のことです。

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