若者にイチオシ! チョーおすすめ映画50本

映画館

DVDやBlu-rayのタイトル数も10万本を超えたいま、「DVDでも観るか」などという軽い気持ちでレンタルショップへ行くと痛い目に遭います。どうして? そりゃあ目移り必至ですから。

そんなわけで、選り好みせず、死ぬまでに観ておきたい映画を一気にご紹介。

ぼくは学生時代、レンタルビデオ屋さんでアルバイトをしていました。当時は毎日1~2本は映画をビデオで観ていました。社会人になってからも、試写会へ行き、新作DVDのサンプル版をもらって観る機会がたくさんありました。仕事ですが。

いまはWOWOWで1日1本、映画を観ています。唯一の趣味ですから、ホームシアターも持っています。

そんなぼくの選り抜き50本、四の五のいわず観てちょーだい。

もくじ

ぼくのおすすめ映画50本を一挙にご紹介

『ダイ・アナザー・デイ』

20世紀フォックスホームエンターテイメント
2002年米(133分)■監督:リー・タモハリ■出演:ピアース・ブロスナン、ハル・ベリー、トビー・スティーブンス、リック・ユーン

ボンドにも逃げ切れないものがある

20作目を迎える華燭のスパイ・シリーズ。善玉ボンドガールのハル・ベリーと悪玉ボンドガールのロザムンド・パイクのイイ女っぷりから、ぞくぞく繰り出される小粋なガジェットの数々、かっ飛んだアストン・マーチンの最新車などなど、とにかくシリーズの肝は完璧に踏襲されており、期待を裏切らない作りであることはいつもと変わらない。

だが今回のボンドはひと味違う。北朝鮮に拉致られ、14か月間の拷問生活。捕虜交換により、ようやく帰還したと思ったら、機密漏洩の疑いをかけられ、「死ねばよかったのに」的キッツイ言葉をMから浴びせられる。いじけつつも身の潔白を証明するためMI6から逃走。いつもの飄々としたボンドにはない人間臭さが漂うのだ。

とはいえ、結局、ボンドが向かった先は高級ホテル。いったん体に染みつい贅沢は2度と抜けることはなく、敵から逃げることはできても物質主義からはけっして逃げられないのだった。

『ボーン・アイデンティティー』

ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
2002年米(119分)■監督:ダグ・リーマン■出演:マット・デイモン、フランカ・ポテンテ、クリス・クーパー、クライブ・オーウェン

Mr.インテリのマッチョな新境地

『ダイ・アナザー・デイ』のような洗練された様式美はなく、『MI:2』のギミック満載、膨大な火薬量にもかなわない。『トリプルX』の体育会系友達ノリもない。主演のマット・デイモンくんからは理科系オタク臭がぷんぷん。だが、なにを隠そう、これこそが本作がヒットの理由なのだ。

高偏差値俳優というイメージの強い彼が、VFXやワイヤーアクションに頼らない泥臭い殺陣と人間味にあふれる葛藤を熱演するからこその魅力。ギャップこそ男の武器なのである。

『マイノリティ・リポート』

20世紀フォックスホームエンターテイメント
2002年米(146分)■監督:スティーブン・スピルバーグ■出演:トム・クルーズ、コリン・ファレル

未来を変えるのはえらい大変です

『A.I.』~本作と、いまやスピルバーグ印ともいえる露出高めの映像はなんとなく非現実的なムードを漂わせているが、司法省調査官役のコリン・ファレルの存在がピリ辛のスパイスとなって作品にリアリティを付与。青みがかった映像も緊迫感をあおり、長尺をまったく感じさせない一級の娯楽に仕上がっている。

テーマは未来は自分の力で変えられるか否か。思い通りになる夢のなかで生きるか、現実か。トム・クルーズの前主演作『バニラ・スカイ』に通じるのは偶然か。

『M:I-2』

パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
2000年米(124分)■監督:ジョン・ウー■出演:トム・クルーズ、ダグレイ・スコット、サンディ・ニュートン

トム・クルーズの俺様的美学集大成

前作『ミッション・インポッシブル』の記録を安々と抜きさり、全世界で興収5億ドルを突破したメガヒット作。

ブライアン・デ・パルマからバトンを引き継いだジョン・ウーが奏でる超ド級アクションの数々は、冒頭の絶壁クライミングシーンからクライマックスのカーチェイスにいたるまで気持ちよすぎてちびりそう! トム・クルーズの「オレをカッコよくみせる100か条」的ナルシズムも炸裂し、もはやストーリーなんかあってもなくてもどーでもいい……。

『ブラック・レイン』

パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
1989年米(125分)■監督:リドリー・スコット■出演:マイケル・ダグラス、高倉健、松田優作、アンディ・ガルシア

リドリー節も優作のまえでは無意味

リドリー・スコットがフィルムに焼きつけた大阪は蒸気にネオン……と、一見「『ブレード・ランナー』かよっ!!」と突っ込んでしまうものの、雑然たる人生の渦巻きを感じさせ、閉塞感に息が詰まりそうになる。

リドリーが組み立てたこの鳥かごのなか、柵はおろか国境をもはるかに超えた存在感をみせつける松田優作。それはもう演技うんぬんの次元でなく、マイケル・ダグラスでも高倉健でも、己の人生においては脇役にすぎないのだという男の美学の証明なのである。

『アニマトリックス』

ワーナー・ホーム・ビデオ
2003年(約101分)■監督:アンディー・ジョーンズ、前田真宏、渡辺信一郎、川尻善昭、小池健、森本晃司、ピーター・チョン

音楽でいうところのミクスチャ

そもそも『マトリックス』は我がニッポンが誇るアニメや香港映画など幾多の既存のカルチャをミックスして生みだされた、ロックでいうところのオルタナ作品。ウォシャウスキー兄弟のとことん少年的な「カッコイイ」の感覚がミクスチャという手法を経て、ピタリ時代にフィットしたのだった。

なわけで、兄弟の日本アニメへのリスペクト企画がこれ。日本人中心に世界のクリエータが『マトリックス』を料理するガチンコ試合。『リローデッド』観るまえに観とけっ。

『デスペラード』

ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
1995年米(約104分)■監督:ロバート・ロドリゲス■出演:アントニオ・バンデラス、サルマ・ハエック

哀愁を失い、迫力を生んだ物量作戦

インディ映画『エル・マリアッチ』のリメイク。監督は同じだが、製作費は7000ドルから700万ドルに。実に100倍! で、どこにそのお金が使われたかというと、制作費のほとんどを銃撃戦に使ったという前作同様、拳銃にマシンガン、ロケット砲とやっぱりほとんど銃弾に。その結果、前作に漂っていた哀愁はもはや影も形もなくなってしまったが、「10秒に1人を葬り去る」というコピーのままに、激しいガンアクションが炸裂。耳を引き裂く爆発音と銃声は5.1chで楽しめ。

『七人の侍』

東宝ビデオ
1954年日本(207分)■監督:黒澤明■出演:三船敏郎、志村喬、津島惠子、島崎雪子、藤原釜足、加東大介

世界に名だたる匠の業

世界映画史に輝く不朽の名作。戦国時代、夜盗と化した野武士と農民が雇った7人の侍の攻防戦をダイナミックに綴り、207分という長丁場もあっという間。その演出からは故黒澤明の気合のこもった匠気がビシバシ伝わってくる。

ハリウッドでも映画の教科書として愛される黒澤作品。西部劇『荒野の七人』、タランティーノの『レザ・ボア・ドッグス』、『スター・ウォーズ』のR2-D2とC-3POなど、黒澤映画をモチーフに使った作品も数多い。暇なとき探してみて。

『燃えよドラゴン』

ワーナー・ホーム・ビデオ
1973年米(149分)■監督:ロバート・クロウズ■出演:ブルース・リー、ジョン サクスン、ジム・ケリー

香港映画のエポックメーキング

世界を席巻したカンフー映画の傑作。香港沖に浮かぶ要塞島――。そこで3年ごとに開催される武術トーナメントにCIAの密命を受け乗り込んだ少林寺のリー。妹のかたきとの試合、伝説の鏡部屋での死闘などみどころ盛りだくさん。みずから創始したジークンドー、生き様、そして「アチョー!」という怪鳥音までもが伝説と化したブルース・リー。彼の肉体と精神がぎっしり詰まった香港映画のエポックメーキング的作品。トータル約1時間のDVD映像特典も見逃すべからず。

『トリプルX』

ポニーキャニオン
2002年米(124分)■製作総指揮・出演:ヴィン・ディーゼル■監督:ロブ・コーエン■出演:サミュエル・L・ジャクソン

アドレナリン垂れ流しの2時間強

スキンヘッドに全身タトゥーをまとい、ヘリからのスカイダイビング、バイクでの手に汗握るスタント、そして極めつけは雪崩に追われながらのスノーボード。とにかく運動神経バツグンのCIAエージェント・トリプルXは、ジェームス・ボンドにもひけをとらないイケメンぶり。『ワイルド・スピード』でみせたダーティな男っぷりに磨きをかけるヴィン・ディーゼルが製作総指揮も務めた本作。プラハを舞台にしたド肝を抜くアクションの連発にアドレナリン垂れ流し!!

『ブレイド2』

日本ヘラルド/ポニーキャニオン
2002年米■監督:ギレルモ・デル・トロ■出演:ウェズリー・スナイプス、クリス・クリストファーソン、レオノア・ヴァレラ

ストリート系スタイリッシュ吸血鬼

黒ずくめのスナイプスが無駄にカッチョいい剣さばきとガンアクション、サングラスの脱着etcを披露する、ストリート系バンパイア・アクション第2弾。人間と吸血鬼のハイブリッドであるブレイドの今回の敵は、ニンニクも十字架も銀の銃弾も効かない吸血鬼亜種リーパーズ。共食い自慢の青白くて薄気味悪い連中をまえに眉ひとつ動かさず、ひたすら打って切って撃ちまくるスナイプスの姿はもやは神々しい輝きを放ち、老若男女みーんなシビれます。

『VERSUS』

ケイエスエス
2000年日本■監督・脚本:北村龍平■出演:坂口拓、榊英雄、三坂知絵子、松田賢二、新井雄一郎

ゾンビの殺し方をしっかりお勉強

『ヒート・アフター・ダーク』に続く劇場公開2作目の本作で世界中から絶賛を浴び、ハリウッドとも契約をかわした北村龍平。最新作『あずみ』では上戸彩ちゃんの勇姿にホレボレさせられるが、アクションだけをみれば本作のが上。

死んだらゾンビ化する地帯に足を踏み入れたチンピラたちが踊るようにゾンビをなぎ倒す様は海の家でペプシ飲むくらい爽快で、ワイヤーアクションを駆使したダイナミックな演出、温度低めのキャラ造形、そのすべてが超cool!

『ヴィドック』

アスミック
2001年フランス(98分)■監督:ピトフ■出演:ジェラール・ドバルデュー、ギヨーム・カネ、イネス・サストレ

視覚効果とサウンドの洪水に酔え

天才と誉れの高いクリエータ、ピトフが初のメガホンをとり、19世紀パリに実在した英雄の死の謎に迫るサスペンス。『スター・ウォーズ エピソード2』に先駆け世界で初めてデジタルカメラHD24Pを使った映像は、デジタルの強みを活かしほぼ全シーン、コンピュータ処理がほどこされた。おかげで、彼が視覚効果を担当した『エイリアン4』を軽~く超えるビジュアルエフェクトの洪水には圧倒されっぱなし。主演のジェラール・ドバルデューも円熟味を増し存在感満点。

『HANA-BI』

バンダイビジュアル
1997年日本(118分)■監督:北野武■出演:ビートたけし、岸本加世子、大杉漣、寺島進、白竜、薬師寺保栄

あなたの人生観をはかるモノサシに

仲間を殉職させ、部下を半身不随にした犯人を殺し警察を辞めた西。遺族への見舞金や病にふせる妻の治療費に首が回らなくなり、ついにヤクザに借金。あまりにも不器用な彼の生き方になにを感じたか。それは観る者の人生観をはかるモノサシになるはずだ。青みがかった妄想か陽炎のような映像のなか、主人公の乾ききった暴力と妻への静かな愛情が淡々と綴られ、合間を縫って挿入される北野監督の自作の絵は強烈なインパクトを醸し、観終わってからも長い余韻をひく。

『チャーリーズ・エンジェル』

ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
2000年米(98分)■監督:マックジー■出演:キャメロン・ディアス、ドリュー・バリモア、ルーシー・リュー、ビル・マーレー

オケツふりふり観る映画

6月28日にはデミ・ムーアもゲスト出演する続編『フルスロットル』が公開となる『チャリエン』。1970年代にアメリカで大ヒットを飛ばした国民的テレビシリーズの映画化であることはいうまでもないが、キャメロン・ディアス、ドリュー・バリモア、ルーシー・リューが扮する3人のスゴ腕探偵“エンジェル”は、もうポップスター以外のないものでもない。流行の一歩先ゆくファッションとダンスのようなマーシャルアーツ、アップテンポな編集には腰をふらずにいられない。

『AKIRA』

パイオニアLDC
1988年日本(124分)■原作・監督・脚本:大友克洋■声の出演:岩田光央、佐々木望、小山茉美、石田太郎、鈴木瑞穂

ジャパニメーション世界制覇宣言!

2019年のネオ東京を舞台に「覚醒」というテーマを描く。破壊で幕開け、破壊につぐ破壊を経て、破壊で幕を引く。高速道路がよじれ、肉体は醜く膨張し、ビルが次々と崩壊……。とことん暴力的で、アッパー系ドラッグをキメたかのように気持ちいい映像に、当時背筋がゾクゾクしたものだった。

膨大なセル枚数、セリフに合った口の動き=リップシンクなど、世界中の映像作家がいまだリスペクトを惜しまないジャパニメーションの最高峰、大傑作、金字塔。

『ハリー・ポッターと秘密の部屋』

ワーナー・ホーム・ビデオ
2002年米(約161分)■原作:J.K.ローリング■監督:クリス・コロンバス■出演:ダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント

前作から一転、大人も楽しめる今作

今回も作者J.K.ローリングとの「原作の雰囲気を壊さない」という契約どおり、ロケ地から出演者まで原作のブリティッシュ風味をとことん活かしてのイギリスづくし。ダニエルくんをサポートするマギー・スミスやリチャード・ハリスはさすがは年の功で物語に深みをプラスしてくれる。

シリーズ7作の映画化が決定しており、観始めたが最後、『ハリポタ』鑑賞は毎年の恒例行事となってしまう恐れアリ。4作目あたりから子供がいっしょに劇場に行きたがらなくなった、とか親子のドラマが生まれる可能性も大。

『ロード・オブ・ザ・リング』

日本ヘラルド/ポニーキャニオン
2001年米(178分)■原作:J.R.R.トールキン■監督:ピーター・ジャクソン■出演:イライジャ・ウッド、イアン・マッケラン

絶対的権力としての指輪の存在

手にする者を欲望の淵へとズッポリ誘う恐ろしい魔力を秘めた指輪。この指輪をめぐる人間の愛憎や世界の本質をえぐったトールキンの作劇には、さすが世紀を超えて愛されるだけあると頭がさがる。そんな冒険譚を3部作で映像化したのは叙事詩作家と誉れ高いジャクソン監督。イアン・ホルムやケイト・ブランシェトなど演技派の配役は実に的を得ており、彼らが織りなす骨太な人間ドラマとド派手なアクションには、原作同様マスターピースとなる予感ヒシヒシ。

『レッド・ドラゴン』

ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
2002年米(約125分)■監督:プレット・ラトナー■出演:アンソニー・ホプキンス、エドワード・ノートン

『ハンニバル』を経ての原点回帰

『羊たちの沈黙』から11年越しに映画化された全米大ヒットのトマス・ハリス原作レクター3部作第1章。切り裂きジャックをモデルにしたという超猟奇的なレクターが、いったいどんな事件を経て投獄されたのか。さらに彼がらつ腕犯罪心理学者であった時代の人となりもしっかりと描かれていて興味深い。注目は若きFBI捜査官グレアムに扮するエドワード・ノートンとアンソニー・ホプキンスの演技バトル。機微を表現する表情、立ち居ふるまいのすべてが見逃せない。

『フロム・ダスク・ティル・ドーン』

東芝デジタルフロンティア/アミューズソフト販売
1996年米(108分)■監督:ロバート・ロドリゲス■出演:ジョージ・クルーニー、ハーヴェイ・カイテル、クエンティン・タランティーノ

登場人物より観てるほうがビビる

犯罪サスペンスから一転、SFXホラーアクションへ。メキシコへ逃亡中のジョージ・クルーニーら凶悪犯2人がハーヴェイ・カイテル一家を拉致る前半部と砂漠のど真ん中にある酒場で突然、多勢のバンパイアに襲われる後半部。前後編でまったく異質のドラマが楽しめるひと粒で2度おいしい作品。

『デスペラード』の正統派ぶりとは打って変わって、ロドリゲス監督のクセを知り尽くしたタランティーノの脚本が冴えをみせ、登場人物はどいつもこいつもキャラ立ちしまくり。

『キリング・ミー・ソフトリー』

東芝デジタルフロンティア/アミューズピクチャーズ、アミューズソフト販売
2001年米(101分)■監督:チェン・カイコー■出演:ヘザー・グラハム、ジョセフ・ファインズ、ナターシャ・マケルホーン

官能シーン連発で鼻血ブッ

ぷんぷんと怪しげなオーラを全身の毛穴という毛穴から放出するジョセフ・ファインズ扮する登山家。なぜ女はこの手の男に惹かれていくのだろうか。ヘザー扮するまじめなOLは出会った瞬間からコイツに体を許してしまい、幕開けるはめくるめく官能の調べ。キッチン、街角、山小屋と手を変え場所を変えのセックスの素描は半端なアダルトビデオよりエロチック。グラマラスなヘザーの裸体、彼女の首を長いリボンで締めあげながらの新婚初夜のシーンにはため息がでる。

『猿の惑星』

20世紀フォックスホームエンターテイメント
1967年米(112分)■監督:フランクリン・J・シャフナー■出演:チャールトン・ヘストン

当たったら続編作る風潮に終止符を

猿が人類を支配する惑星に不時着してしまった宇宙飛行士の背中を追っかけるSF大活劇。完全なエンタメ作品でありながらも、「猿の分際で!」なーんて言ったら死刑にされてしまいそうな世界観の裏側には差別や価値観の相違といった社会的なテーマがひそむ。現実の米社会もそんなものだったりするからこそ、時代を超える普遍性をもちえたのだろう。

後にシリーズ化されたが、本作の衝撃のラストを超えられるはずもなく、バートン版にいたってはほとんどパロディ。

『ミクロの決死圏』

20世紀フォックスホームエンターテイメント
1966年米(101分)■監督:リチャード・フライシャー■出演:スティーブン・ボイド、ラクウェル・ウェルチ、エドモンド・オブライエン

CGに頼りすぎる近年SF映画へ捧ぐ

シュールレアリズムの先鋒ダリによる美術セットが美しすぎるSF映画の金字塔。細菌サイズに縮小された医療班が政府要人の体内をところせましと駆けめぐる様子を心臓の乱流や襲いくる白血球などアクシデントてんこ盛りで描き、特殊効果花盛りの今観てもチープさをみじんも感じさせない。

米・イリノイ大学で糖尿病治療用マイクロマシンが開発されたのがほんの約1年半前。40年近く前に描かれた本作もついに現実のものに! 人間の想像力に大きな乾杯。

『ゴジラ』

東宝ビデオ
1954年日本(97分)■監督:本多猪四郎■出演:宝田明、河内桃子、平田昭彦、志村喬、菅井きん

GODZILLAではないゴジラの迫力

ゴジラが東京に初めてお目見え。水爆実験で海底の生活環境を破滅されて怒ったゴジラが人々を襲う第1作。いまわの際にアナウンサーが「みなさん! もう間に合いません。さよ~なら。さよ~なら」と言い残すシーンなど、昨今の『ゴジラ』シリーズにはないリアリティと凄惨さがにじむ。

戦後9年という時代に製作された本作。第二次大戦の爪あとが作中いたるところに暗い影を落としている。造形のリアルさのみを追及したエメリッヒ版は単なる大トカゲ。

『リング』

角川書店/ポニーキャニオン
1998年日本(95分)■原作:鈴木光司■監督:中田秀夫■出演:松嶋菜々子、真田広之、中谷美紀、竹内結子、佐藤仁美

大画面&高音質が恐怖の水増し

数十倍の製作費を投じたハリウッド版リメイク『ザ・リング』も各国で動員記録を打ち立てはしたが、やっぱり日本人にゃ古井戸に着物なんて日本古来の怪談的ファクタと都市伝説テイストがしっくりハマル。

この『Hi-BIT Edition』は、新たにHDテレシネ(フィルムをハイビジョンビデオ信号に変換)をおこない、音声も6.1chサラウンドdts-ESを収録。刻一刻迫りくる死期に必死であらがう奈々子嬢の焦燥と苦悶の表情は大画面と高音質で堪能!

『タイムマシン』

ワーナー・ホーム・ビデオ
2002年米(96分)■原作:H・G・ウェルズ■監督:サイモン・ウェルズ ■出演:ガイ・ピアース、サマンサ・マンバ、マーク・アディ

タイムマシンでも過去はいじれない

タイムマシンがH・G・ウェルズの発案であることは意外に知られていないが、透明人間しかり、宇宙戦争しかりで、“未来を見てきた男”という異名をとるウェルズ。彼の同名原作をひ孫のサイモン・ウェルズが映像化したのがこちら。

殺された恋人を救うべくタイムマシンで過去へ。でもやっぱり死んでしまう彼女。こんなスタートだから全編どうにも温度低め。本作にヒントを得た『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の過去いじり好き放題な能天気さがなつかしい……。

『2001年宇宙の旅』

ワーナー・ホーム・ビデオ
1968年米(148分)■原作・脚本:アーサー・C・クラーク■監督:スタンリー・キューブリック■出演:キュア・デュリア

少年心も大人心もガッチリ鷲づかみ

いまさら説明するまでもないキューブリックのある意味、頂点。アーサー・C・クラークの脚本はかなり難解で、子供のころに観た人にはさっぱりだったはず。それでも万博前夜の熱っぽさと、当時としては画期的だった特撮は少年心をグッと捕らえて離さなかった。DVDで見直してみれば映像と「ツァラトゥストラはかく語りき」などのクラシックナンバーとの融合すばらしく、わずか148分で人類創世記から宇宙世紀までを描き切るその力業にまたも大人心を鷲づかみにされる。

『ディープ・ブルー』

ワーナー・ホーム・ビデオ
1999年米(105分)■監督:レニー・ハーリン■出演:サフロン・バローズ、トーマス・ジェーン、サミュエル・L・ジャクソン

食物連鎖の最上位に君臨するのは?

DNA操作により下手すると人間より頭がよくなってしまった人食いザメ3匹からひたすら逃げまくる人間のぶざまな姿を、レニー・ハーリンがノリノリで描く。その演出の過剰さは『クリフハンガー』を凌駕する勢いで、サメへの恐怖心などどこかへぶっ飛ばしてしまい、捕食者のサメが被食者である人間を食い散らす様子にいつしか快感を覚えてしまう始末。

サメ研究のスポンサー役であるサミュエル・L・ジャクソンのいさぎよすぎる死に様に最敬礼!

『アラビアのロレンス』

ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント
1962年米(218分)■監督:デヴィッド・リーン■出演:ピーター・オトゥール、オマー・シャリフ

等身大ラクダを観るなら100インチ

とにかく映像と音楽がズバ抜けて美しい。とりわけ、トルコ軍が支配する軍港アカバ攻略のシーンはラクダの大群が画面いっぱい縦横無尽に駆けめぐり、息を呑み目を見張る。このシークエンスこそ、うちのホームシアタで観るべき映像だったのだと、ひとりごちることウケアイなのである。

物語はアラブ独立の夢を抱き、独自のゲリラ戦法で英雄とたたえられたT・E・ロレンスが裏切りに遭い、すべてを失うまでの半生を226分という長尺で綴るスペクタクル巨編。

『ブレイブハート』

20世紀フォックスホームエンターテイメント
1995年米(178分)■監督:メル・ギブソン■出演:メル・ギブソン、ソフィー・マルソー、パトリック・マッグーハン

男にしかわからない世界がある

非情なエドワード一世が支配する13世紀スコットランドを舞台にした伝記。監督も務めるメル・ギブソンが扮するのは実在の革命児ウィリアム・ウォレス。意志の強いまなざしと抜きんでたリーダシップを武器に反乱軍を組織したウォレスが卑怯な戦法を駆使し成長を遂げてゆく様子に血湧き肉踊る! アカデミー作品賞、監督賞をはじめとする堂々5部門を獲得したヒストリーロマン。ときの声を上げて敵陣へ走り出すラストシーン、仲間たちの雄姿には男泣き必至です!!

『戦場のメリークリスマス』

ポニーキャニオン
1983年英・日本(123分)■監督・脚本:大島渚■出演:デビッド・ボウイ、ビートたけし、坂本龍一、トム・コンティ、ジャック・トンプソン

タラリララ~ンは国民的フレーズ

第二次大戦中のジャワ日本軍捕虜収容所。日本軍人と西洋人捕虜との関係を、大島渚は持ち前の沈美な映像表現で深くえぐり、ビートたけしが「メリークリスマス、ミスター・ローレンス」とスクリーンいっぱいの笑顔でつぶやくラストシーンにいたっては全身鳥肌、ときに号泣。

デビッド・ボウイ、坂本龍一、内田裕也、ジョニー大倉など絢爛豪華なキャストが愛を確認しあう、これはまごうことなき男の純愛物語。大島渚、あざとい確信犯だ。

『ブラックホーク・ダウン』

ポニーキャニオン
2001年米■監督:リドリー・スコット■出演:ジョシュ・ハートネット、ユアン・マクレガー、トム・サイズモア

映画的な形骸化を避けた、らしい

1993年ソマリアで起きた壮絶な市街戦と救出劇の一部始終を一切の娯楽要素を排除し、中立的な視点で描く。ただし、この「一切の~」というのはあくまでも監督談であり、実際には大量に死んでいるはずのソマリア人の死より、圧倒的に米兵の死に重点がおかれた構成。ジャーナリズムなのだというリドリーの言葉はひとたび映像を観れば陳腐化するが、戦争アクションとしてみれば一級品。大気中砂塵濃度の高そうなザラリとした映像からは戦場の空気感がヒシヒシ伝わる。

『テルマ&ルイーズ』

20世紀フォックスホームエンターテイメント
1991年米(129分)■監督:リドリー・スコット■出演:スーザン・サランドン、ジーナ・デイビス、ハーヴェイ・カイテル

ニューシネマ、ロードムービー万歳

暴力亭主との暮らしにうんざりのテルマと、高校時代からの親友であるルイーズは2人旅へ。ところが道中、テルマを強姦しようとした男をルイーズは射殺してしまう。

と、なんだかジメジメした幕開けだが、追い詰められるほどに2人は輝きを放ち、悲壮感などこれっぽちも感じさせない。銀行強盗のあげく、ラストに向けて女っぷりをどんどん上げてゆくジーナ・デイビスとスーザン・サランドンの心意気に惚れるニューシネマ系痛快作! プラピも出てるよん。

『ディア・ハンター』

パイオニアLDC
1978年米(183分)■監督::マイケル・チミノ■出演:ロバート・デ・ニーロ、クリストファー・ウォーケン、ジョン・サベージ

戦争の後遺症に悩む男たちの狂気

アカデミー賞作品賞と監督賞、さらにクリストファー・ウォーケンがオスカーを受賞した青春群像劇にして問題作。

ベトナムでの悲惨な体験を経て、精神に破綻をきたしたペンシルバニア州の若者たち。青春や友情、愛までもが戦争によってむちゃくちゃにされるさまを、マイケル・チミノ監督は出征する前、戦場、帰還後という3部構成で綴る。これが、前後の故郷のシーンにくっきりとしたコントラストを生んで、戦争の狂気を浮き彫りにすることに大成功。

『地獄の黙示録』

日本ヘラルド/パイオニアLDC
1979年(202分)■監督:フランシス・F・コッポラ■出演:マーロン・ブランド、マーチン・シーン、ロバート・デュバル

未公開シーン追加でまさしく完全版

1960年代末のベトナムが舞台。ジャングル奥地に王国を築いたカーツ大佐暗殺の特命を受けたウィラードが、ナング河をさかのぼる過程をねっとりと描く戦争映画の最高傑作。主役のハーヴェイ・カイテルを更送し、後釜マーティン・シーンも熱病で危篤状態になるなど苦労話は尽きず、ナパームでジャングルを焼き払うシーンや「ワルキューレの騎行」をBGMにしたヘリコプタ急襲シーンなどすべてがピリピリとした緊張感に打ち震え、これぞまさにナンバーワン、オリジナル。

『K-19』

日本ヘラルド/ポニーキャニオン
2002年米(137分)■監督:キャスリーン・ビグロー■出演:ハリソン・フォード、リーアム・ニーソン、ピーター・サースガード

コレ、実話なんです。

125億円という莫大な予算を投じた潜水艦映画の超大作。ハリソン・フォードとリーアム・ニーソンが共演し、潜水艦という密室のなかでヤケドしそうなくらい熱い男のドラマを繰り広げる。にしても彼らが演じるのはなんと冷戦時代のロシア兵士! 世界情勢の移り変わりをあらためて実感。

気になるストーリーのほうは、旧ソ連原潜の原子炉にヒビが入り、乗組員たちが必死の復旧作業を続けるというもの。 コレ、28年間も封印されてた実話なんです。コワ~ッ。

『パーフェクト ワールド』

ワーナー・ホーム・ビデオ
1993年米(約138分)■監督・出演:クリント・イーストウッド■出演:ケビン・コスナー、ローラ・ダーン、フィリップ・ペリー

名監督イーストウッドの狙い的中

アンチ・ヒーロー役に初挑戦のケビン・コスナーは、完璧な楽園「パーフェクトワールド」を目指し逃走する脱獄犯。ある日、彼は少年と出会う。2人のあいだに芽吹く絆。その絆は逃走生活のなかで、やがて深いものへとなってゆく。

少年が自分と似た境遇に育ったことを知ったコスナーと、亡き父の姿を彼に重ねる少年との擬似親子関係を軸に描かれる追跡劇。のはずが、テンポがゆるすぎて、完全にロードムービーと化している。イーストウッドの作戦勝ちか。

『アメリ』

パンド
2001年仏(121分)■監督:ジャン=ピエール・ジュネ■出演:オドレイ・トトゥ、マチュー・カソヴィッツ、ドミニク・ピノン

ノスタルジックな情景に心奪われる

不思議少女アメリ・プーランのぶきっちょな恋のてん末を絵画のように美しい映像でやさしく綴った物語。どこまでもイノセントな彼女の姿にはティーンの女の子ならだれでもビビッと感電させられるはず。ときに彼女が結びつけたカップルの男がストーカへ変貌し、女、発狂寸前! なんてこともあるが突っ込みは無用。彼女はおとぎの国の住人なのです。

本作のパリの描写は同監督のデビュー作『デリカテッセン』でのシュールさと一見対照的だが根底には通じるものが。

『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』

ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
2002年米(141分)■監督:スティーブン・スピルバーグ■出演:レオナルド・ディカプリオ、トム・ハンクス、マーティン・シーン

レオ様、ハンクス、スピルバーグ!

1960年代に世界中を騒がせ、わずか数年で400万ドルを荒稼ぎした10代の実在詐欺師役にディカプリオ。彼を追う執念の捜査官役にはトム・ハンクス。さらに、この2大スターをメガホンでさばくスピルバーグ。とくれば、本作品が折り紙つきのエンタメであることは疑いようがない。実際、スリリングに追跡劇を描きながらも、少年を犯罪に追いやった家族のテーマや、自分の居場所を探しつづける少年の心の旅を織り込み、さすがスピルバーグとうならせてくれる。

『ビッグ ウェンズデー』

ワーナー・ホーム・ビデオ
1978年米(118分)■監督:ジョン・ミリアス■出演:ジャン・マイケル・ビンセント、ウイリアム・カット、ゲイリー・ビジー

ああ青春のビッグウェーブ

伝説の大波ビッグウェズデーに乗る日を夢見ているマット、ジャック、リロイの青春を描いた佳作。パーティでの乱闘や徴兵逃れなど、自身サーファーであるジョン・ミリアスだからこそ切りとることのできた60年代の生のサーフカルチャーは今なお色あせない魅力にあふれている。

ゴオオッとはらわたをえぐって押し寄せる大波の迫力は大画面&大音響でこそ楽しみたい。大波に乗る豆粒のようなサーファーを「これ、オレだ」と語る監督の音声解説は必聴。

『ストレイト・ストーリー』

コムストック/ポニーキャニオン
1999年米(111分)■監督:デヴィッド・リンチ■出演:リチャード・ファーンズワース、シシー・スペイセク、エヴァレット マッギル

あわただしい毎日の栄養ドリンクに

73歳のアルヴィンは、病の床に伏した兄と仲直りするため、時速8キロのトラクターを駆って6週間の旅にでる。彼が道中出会った人々に語りかける言葉の一つひとつにじっと耳を澄ませてほしい。年輪を重ねてきたからこその深みある言葉の数々。この作品の魅力はこの1点に尽きる。
しかし、カルト作家かと思いきや、こんなハートフルな小品をさらっと撮れるリンチの底力には恐れ入る。

『GO』

東映ビデオ
2001年日本■原作:金城一紀■監督:行定勲■出演:窪塚洋介、柴咲コウ、大竹しのぶ、山崎努、山本太郎、新井浩文、大杉漣

社会派のモノサシなんかクソ喰らえ

コリアンジャパニーズの日常がビビッドに綴られ、とくに窪塚扮する杉原が在日であることを柴崎演じる桜井に告げ、肉体的な拒絶を受けるシーンは2人の息づかいまでがビンビン伝わってきて、しょっぱくて、切なくって、美しすぎ!!

日本アカデミー賞での最多8部門受賞が記憶に新しい青春映画の大傑作。直木賞を受賞した原作がもつ疾走感そのままに、窪塚のナマイキなツラ構えと柴崎の透明感をたたえた瞳が在日という重いテーマをさわやかにぶっ飛ばす。

『フラッシュダンス』

パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
1983年米(95分)■監督:エイドリアン・ライン■出演:ジェニファー・ビールズ、マイケル・ヌーリー、リリア・スカラ

映画における米MTV文化の開花宣言

84年の『フットルース』、86年の『トップガン』などもその代表作であるが、MTV感覚をスクリーンへ照射し、サントラ馬鹿売れムーブメントのきっかけとなったのはこの映画。

アカデミー賞主題歌賞に輝く「ホワッツ・ア・フィーリング」を筆頭に劇中歌はどれもすばらしくポップ。ジェニファー・ビールスの躍動感たっぷりのダンスとともに、登場人物だけでなく観る者をも瞬時にノリノリにさせてくれる。

ハイ、サントラ買った人、手ぇ挙げて!!

『マレーナ』

日活
2000年伊・米(103分)■監督:ジュゼッペ・トルナトーレ■脚本:モニカ・ベルッチ、ジュゼッペ・スルファーロ

心に焼きつくロケ地選びの妙味

第二次大戦が始まったころのシチリア島へ嫁いできたマレーナ。彼女に憧れを抱く少年の心の機微や彼女を侮蔑する島の人々の様子を、『ニュー・シネマ・パラダイス』のトルナトーレ監督が持ち前の細やかな人間観察で紡ぎあげる。

物語の軸は少年の性への目覚め。青くささがプ~ンと立ちのぼり、さらに美しいというだけでマレーナを村八分にする島の女たちのいやらしい嫉妬心なども包み隠さず描かれるのだが、美しい海と田舎町の情景がすべて洗い流してくれる。

『スワロウテイル』

ポニーキャニオン
1996年日本(148分)■原作・監督・脚本:岩井俊二■出演:三上博史、Chara、伊藤歩、江口洋介、山口智子、渡部篤郎、塩見三省

味わい深い岩井俊二の金太郎飴

岩井俊二が編みあげた近未来日本が舞台の寓話である。

偽札作りや歌手デビュー、母親捜しなどのサブプロットがからめとるのは、主人公たちが住むスラム地帯と東京、あるいは外国人と日本人、ホワイトカラーとブルーカラーのあいだにある「境界」の存在。一方で、英語、中国語、日本語が飛びかうボーダレスな無国籍感覚が全編をつらぬき、登場人物たちのつき抜けた存在感ととことん岩井テイストなカメラワークなど、そのどれをとっても岩井俊二の金太郎飴。

『ウエスト・サイド物語』

20世紀フォックスホームエンターテイメント
1961年米(152分)■監督:ロバート・ワイズ■出演:ナタリー・ウッド、リチャード・ベイマー

これぞ、ミュージカル映画

ニューヨーク上空からウエスト・サイドへとカメラが降りてゆく冒頭シーンでいきなりノックアウトされるこの映画は、ニューヨークの下町を舞台にイタリア系のジェット団とプエルトリコ系のシャーク団の対立を描くミュージカル大作。

モチーフはいわずもがなの「ロミオとジュリエット」。激しいカット割りでみせるバレエ化された争いのシーンや、体育館での気合のこもったダンスは観終わってからジワジワ効いてきて、3日後には禁断症状がでるかもだ。

『バード』

ワーナー・ホーム・ビデオ
1988年米(161分)■監督:クリント・イーストウッド■出演:フォレスト・ウィテカー、ダイアン・ヴェノーラ

詩情が心にコツンと響く

役者でいくか、ジャズピアニストになるかで悩んだというイーストウッドが、敬愛する天才即興演奏家チャーリー・パーカーの激動の半生を描き切る。それにしても、イーストウッド監督作品は『マディソン郡の橋』『許されざる者』などなど、どれも2時間を超える長尺ばかりだが、いずれも詩情たっぷりで心にコツンと響いてくる。

バードの愛称で親しまれた、ビ・バップの創始者パーカー。演奏はバード本人のものを使用しておりファンも納得。

『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』

SPO
2001年米(92分)■監督・出演:ジョン・キャメロン・ミッチェル■出演:スティーヴン・トラスク、ミリアム・ショア

ゲイシンガーの切ない歌声にドキリ

直訳すれば「ヘドウィグと醜い1インチのナニ」というタイトルに思わずドキッ! 本作品はNYのオフブロードウェイでロングランヒットを飛ばしたミュージカルの映画版。

性転換手術に失敗し、ちょっとだけ残ってしまったナニをぶらさげて、バンドと巡業の旅を続ける主人公ヘドウィグ。最初、単なるおかまにしか見えない彼が、いつのまにやらそのへんの女よりも女らしくみえて、裏切った恋人への怒りと哀しみを切々と歌いあげる姿にまたもやドキリ。

『ブルース・ブラザーズ2000』

ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
1998年米(124分)■監督:ジョン・ランディス■出演:ダン・エイクロイド、ジョン・グッドマン、ジョー・モートン、フランク・オズ

スター総出演に感謝感激雨あられ!

ジョン・ベルーシとダン・エイクロイドの傑作『ブルース・ブラザース』、18年ぶりの続編。ベルーシの代わりにジョン・グッドマンを迎えバンド合戦に挑む。前作にも出演したジェームズ・ブラウンのパワーアップぶりや、エリック・クラプトン、BBキングといったスターが本作のためにバンドを組んでライブパフォーマンスを行なうさまには感激!! 胸と尻とおなかをダイナミックに揺らすアレサ・フランクリン、エリカ・バドゥら黒人シンガーのリズム感にもほ~れぼれ。

『ラストワルツ』

20世紀フォックスホームエンターテイメント
1978年米(117分)■監督:マーティン・スコセッシ■出演:ザ・バンド、エリック・クラプトン、ボブ・ディラン、ニール・ヤング

アメリカンロックの転換期

1976年11月25日、サンフランシスコのウィンターランドで16年にわたる演奏活動に終止符を打ったザ・バンド。その伝説のラストコンサートにして、究極の音楽ドキュメンタリー映画がこの作品。マーティン・スコセッシがステージ演出を務め、アンコールの最後の曲から始まる本編はメンバーへのインタビューをはさみ巧みに構成されている。クラプトン、ボブ・ディランなどアメリカンロックを代表するアーティスト陣が参加し、5.1chで収録されたサウンドは臨場感のきわみ。

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photo credit: twm1340 via photopin cc Toho Cinemas Roppongi Hills / Dick Thomas Johnson

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