DV防止法の「配偶者」には、法的に婚姻関係を結んでいる男女、いわゆる夫婦のほか、役所に婚姻届けを提出してはいないけれども、事実上は婚姻関係と同じ状況にある男女も含まれる、とされています。
これ、ちょっとわかりにくいですね。
もう少し嚙み砕くと、法律上の「事実上の婚姻関係」というのは、
- おたがいに婚姻の意思がある
- 共同生活を営んでおり、婚姻関係と同等の生活事情にある
ということになります。
当人たちに夫婦としての自覚があれば「事実上の婚姻関係」
まだわかりづらいですねー(笑)。
ですので、思いきりひらたくいってしまいましょう。
社会通念上の夫婦と同じ関係にあるなら、それは「事実上の婚姻関係」。つまり、自分たちが自分たちを恋人だとか同棲相手だとか思っているのでなく、夫婦という自覚があるなら「事実上の婚姻関係」ということになるのです。
ただし、それを判断するのは、他人ですから、「自分たちが自分たちを夫婦だと思っている」客観的な事実が必要です。たとえば以下のようなもの。
- すでに結婚式をすませている
- 新婚旅行にもう行った
- 住民票が同一の住所で、家計も同じ
- 子どもがいる
これらのいずれかに該当するなら、DV防止法の対象になります。
半面、たんなる交際相手はもちろん、何年も同棲をしていたとしても、こういう客観的な事実をともなわない男女は「事実上の婚姻関係」にあるとはみなされません。DV防止法を適用することもできません。
どうしてそうなったのかは、DV防止法の生い立ちをみればわかります。
DV防止法では、結婚相手というとりわけ親密な相手からの暴力を、一般の暴力とは性質が異なるものとみなしています。家庭という密室で、最愛のパートナーであるはずの相手から暴力(精神的なものや性的なものも含む)を受ける。こうしたケースでは、被害者は世間体や羞恥心などもあって、だれにも相談できないということが少なくないのです。
さらに、日常的な暴力にさらされることで、極度の抑鬱状態におちいってしまい、冷静な判断力を欠いているケースもきわめて多い。こうした実情に鑑みて、家庭内暴力の被害者たちには、特別な救済措置が必要だと考えられたのです。
デートDV(恋人や同棲相手によるDV)は助けてもらえないの?
そんなことはありません。
おつきあいをしている相手や、同棲をしている相手から暴力をふるわれた場合は、ストーカー防止法で対応できるケースが少なくありません。くわしくは、こちらの記事をお読みください。