DV防止法とは? どこよりわかりやすく解説!

DVのイメージ

DV防止法の正式名称は、

配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律

成立は、平成13年4月6日。同じ年の10月13日に、一部をのぞいて施行がスタートしました。

DV法の目的、DV法誕生の背景

男性の理不尽な暴力から女性を守るためです。

女性は結婚や出産を契機に、それまで務めていた職場を辞めるケースが多く、その後、復職を果たしたにしても、育児などで時間に融通が利かないとあって、非正規雇用の職を選ばざるを得ないことが少なくありません。

このため、夫と離別してもなかなか自活は困難。そんな女性に対し、夫が心身の健康に悪影響をおよぼすような言動をおこなうことは、法と道徳律に照らして許すまじき行為である、という考え方が土台となっています。

憲法が男女平等を謳(うた)っている以上、DV法を女性にだけ適用する、ということはしませんでしたが、DV法が守ろうとしているのは、あくまでも女性なのです。それが証拠に、DV防止法前文にこうあります。

DV防止法前文(一部抜粋)
(前略)配偶者からの暴力の被害者は、多くの場合女性であり、経済的自立が困難である女性に対して配偶者が暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動を行うことは、個人の尊厳を害し、男女平等の実現の妨げとなっている。このような状況を改善し、人権の擁護と男女平等の実現を図るためには、配偶者からの暴力を防止し、被害者を保護するための施策を講ずることが必要である。このことは、女性に対する暴力を根絶しようと努めている国際社会における取組にも沿うものである。(後略)

この前文にあるように、DV法制定時、国際政治の場でも、性犯罪や買春、セクハラやストーカーといった、女性に対する暴力が重要なテーマとなっていました。各国で、女性への暴力撤廃に関する宣言が打ち出されたり、活動がスタートしたりしていたのです。

そんななか、わが国でも前年にストーカー規制法が定められたという経緯があり、さらには関係機関が連係し、前年から夫や恋人の暴力から女性を救おうという動きが出ていました。

こうした時流にさおを差すかたちで、わが国でもDV法が成立したのです。

DV法の内容

まずは、内閣府男女共同参画局の資料から引用。

DV法とは?

配偶者からの暴力に係る通報、相談、保護、自立支援等の体制を整備し、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護を図ることを目的とする法律です。

被害者が男性の場合もこの法律の対象となりますが、被害者は、多くの場合女性であることから、女性被害者に配慮した内容の前文が置かれています。

では、噛み砕いて説明していきましょう。

1.だれが対象か?

「配偶者」です。赤の他人の暴力は、DV法では裁けません。刑法を適用します。

通常、配偶者というと、婚姻届けを役所に提出した2人、ということになりますが、DV防止法でいう配偶者は、事実婚を含みます。内縁関係や同棲、さらに離婚後あるいは交際をやめたあとも継続して暴力を受けているなら、この相手も配偶者とみなします。

2.どんな暴力が対象

殴る蹴るの暴力だけでなく、精神的にダメージを与える行為や、性的暴力も含みます。

暴力をふるうふりをする、ものをぶつけるふりをする、というのもダメ。大声で怒鳴りつけたり、無視しつづけたり、さげすんだ発言する、というのもNGですし、仕事を辞めさせたり、働きに行くのを禁止したり、友人や親族とのつきあいを邪魔する、といった行為もDV防止法の対象になります。

3.DVについて相談できる

DV防止法にもとづき、相談窓口が設置されています。相談窓口は、配偶者暴力相談支援センターと警察です。

警察は、加害者に対し、逮捕や指導、警告といった措置がとれるほか、被害者に自衛手段や対策方法などのアドバイスをおこなっています。

配偶者暴力相談支援センターでは、加害者へ直接、法的な措置を講じることはできませんが、警察などと連係をはかりながら、適切な対策を講じることができます。さらに、次のような自立支援に関する情報提供もおこなっています。

  • 生活の支援
  • 就業の支援
  • 住宅の支援

警察、配偶者暴力相談支援センターともに、裁判所へ保護命令の発令を求めることができます。保護命令は、相手を遠ざけたい場合に有効な裁判所命令です。後述しています。

4.いますぐ逃げたい

婦人相談所は、配偶者暴力相談支援センターのひとつですが、被害女性の一時保護業務もおこなってます。各都道府県にかならず1つあります。

5.加害者を強制排除したい

DV被害者が、さらに暴力を受ける可能性がある場合、裁判所が出す保護命令によって、加害者を遠ざけることができます。

保護命令には次の4つがあり、加害者が命令にそむけば、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。

(1)あなたへの接近禁止命令(有効期間6か月)

被害者につきまとったり、被害者の自宅や勤め先の近くをうろつくことを禁止します。

(2)あなたの子どもや親族への接近禁止命令(有効期間6か月)

あなたへの接近禁止命令をたしかなものにするため、あなたのお子さんや親族の身辺をうろつくことも禁止します。

(3)電話等禁止命令(有効期間6か月)

これも、あなたへの接近禁止命令をより確実ななものにするための命令です。

加害者は、あなたに対し面会を要求したり、無言電話や緊急時以外の連続した電話、ファックス、電子メールをしてはいけません。

監視していることを告げる行為も禁止されますし、名誉を傷つける発言や乱暴な物言いなどもすべて禁止されます。

(4)退去命令(有効期間2か月)

あなたの自宅から加害者を退去させる命令です。

まとめ

あなたがもし、いまつらい思いをしているなら、ひとりで悩む必要はありません。DV法にもとづき、あなたの人権や尊厳を守ってくれる期間があり、スタッフがいます。躊躇せず、相談してみることを強くおすすめします。

最後になりましたが、DV法の全文のリンク先を記して、この記事を終えたいと思います。