最近は人間の生活エリアにいる昆虫の個体数がめっきり減っているし、もう昔のように昆虫採集なんてできっこない――そう思いこんでいるパパママ! そんなことありませんよー。
都会から30~60分も行けば、昆虫採集は十分に可能。都会に点在するオアシス――国民公園や自然公園などでも、よく目を凝らせば、たくさんの生きものの姿を見つけることができます。都会から少し足を伸ばせば、里山もまだあちこちに残っています。
「都会の昆虫探訪記~ぼくらの隣にはこんなにたくさんの虫たちが暮らしていた!?」とか「都会にもいる! 東京カブトムシMAP」とか、小学生の子どもの夏休みの自由研究にぴったりのテーマではないですか。うちに男の子がいたらやらせてますねー、うん。
というわけで、今回は昆虫採集のすすめ。昆虫採集をおこなう場所の探し方、捕まえ方のコツ、観察日記の書き方(自由研究用)、昆虫の観察と採集に必要な道具&便利グッズをご紹介していきます。ふだんはアウトドアになじみがない、インドア派のパパママもレッツトライ!
もくじ
昆虫採集のコツ
1.どこで捕る? 採集地の見つけ方
虫取り網とかご持って、防虫スプレー振りかけて、やる気満々でやってきたというのに、アリンコもいない、というのはツラい。まずは、自宅で採集地をロケハンしましょう。
都会でも、大きめの公園で植物がたくさんあるところなら、昆虫はたくさんいます。
- 森林公園(一覧)
- 緑地公園
植物園もグー。神代植物園(東京・調布)なんて、昆虫の見本市でしたからね。この写真は代々木公園。こんな場所でもコツさえつかめば、虫とのふれあいが楽しめます。
わが家は現在、荒川と隅田川にはさまれた街に暮らしています。荒川の河川敷にもよく観察するとさまざまな虫たちが暮らしています(隅田川はコンクリート護岸で、河川敷なし)。
荒川を埼玉方面へ少し行けば、川沿いに雑木林がたくさんあり、クワガタがいます。そうそう、うちの近所にある神社の神主さんによれば、たまに境内の林(猫の額ほど!)でカブトムシを見かけることもあるとか。カブトムシやクワガタなんて都会ではもはや絶滅危惧種かと思っていましたが、じつはこんなに身近にいるのですね。
都会から離れると、よりたくさんの種類の昆虫に出会えます。都心からクルマや電車で30~60分も行けば、里山もまだたくさん残っています。八王子方面、埼玉方面、千葉方面にはのどかな田んぼが広がっていますからね。
人間が手を入れることで、豊かな生態系を維持している自然空間のこと。農村地域などが代表的です。
里山の田んぼや雑木林、棚田、ため池などには、じつにさまざまな生きものが共存しています。とくにクヌギやコナラとった広葉樹のある雑木林には、樹液につられて昆虫がウヨウヨと集まってきています。
里山の雑木林は下草も刈ってあります。だから野歩きしやすい。昆虫採取には、里山がオススメ。
関東在住の方は、この地図をご覧ください。緑の部分、想像以上にたくさんありますね。都心からでも、電車で30~60分も行けば、東西南北どの方向へ行っても大自然が広がっています。
関西はこっち。
緑だらけ。都会だから昆虫採集できない、なんて言い訳はもう通用しませんねー。
2.昆虫採集の服装は?
- 長ソデ
- 長ズボン
- 靴下
- 帽子(熱射病対策)
- バッグ(リュックやショルダー)
- 運動靴かトレッキングシューズ
これが基本スタイル。ハチやアブ、毛虫、植物のトゲなどから身を守るためですね。
といっても、毒虫たちを毛嫌いしないで。アブハチ毛虫が元気に暮らしている空間だからこそ、ほかの生きものも快適に暮らせるのです。
彼ら昆虫のテリトリーに踏みこんでいくのですから、それ相応の準備とリスペクトが必要なのです。
そうそう、草むらをかき分けたりすることもありますから、軍手があると便利。黒い洋服(帽子も)は避けるのが無難です。ハチの標的になります。
昆虫採集に必要な道具類は別記事にまとめています。
3.昆虫の見つけ方のコツ
一番大切なのは、あっちこっち動きまわらないこと。ここぞ、という場所をみつけたら、その周囲をじっくりチェックしていきます。草花の葉っぱの裏を見たり、樹木の皮の裏側をのぞいてみたり……。
ここぞ、の場所は、こんな感じです。
こうした場所にかがみこんで、丹念に観察をはじめると、せまいエリアに無数の昆虫の息づかいを聞くことができるのです。彼らはふだん、補食者に見つからぬよう、擬態したり隠れたりして、息をひそめて生活しているのです。
簡単には姿を見せてくれません。だからこそ、発見したときに喜びがある。これが昆虫観察の醍醐味です。
昆虫図鑑も忘れず持参したいところ。出会った昆虫がどんな生きものなのか、一つひとつ確認していくのも楽しみのひとつですし、子どもにとっては最高の勉強です。さあ、どんな昆虫と出会えるかな?
4.昆虫の捕まえ方のコツ
現地へ行けば、パパは少年時代の感覚を思いだすはずです。はるか昔、昆虫ハンターだったころの記憶が目を覚まし、血がたぎってくるはずです。ぼくがそうでした(笑)。
簡単に虫取りのコツをまとめておきます。まずは、虫取り網の操り方のポイントから。
- すばやく網を振り、昆虫が入ったら、すぐ網を返し、出口をふさぐ、これが基本動作。
- 草むらに隠れている虫を捕らえるには、「スウィーピング」という方法が有効。草むらのなかで網を左右にぶんぶんと振る。これだけ。あとは虫が入っているかどうか確認すればOK。
- 地面や草花にいる虫(バッタやトンボやチョウなど)を捕まえるときは、網をかぶせてから、網のうしろを持ちあげてやると、虫が飛びあがって、網に入る。そこで網を返せば、逃げられずにすむ。
こちらの動画も見ておくといいですよ(ё_ё)
素手でセミを捕る方法
カブトムシ捕りの秘訣
5.スズメバチ対策
スズメバチにはくれぐれもご注意ください。刺されると非常に危険。命にかかわることもありますからね。
カブトムシやクワガタの生息域には高確率でいます。夏の終わりから秋にかけて、巣の規模がもっとも拡大し、攻撃的になります。巣に近づくものに敏感に反応します。対策としては、
- 姿を見たらすぐにその場を立ち去る。
- 立派な巣を見かけても、絶対に近づかない。
- 衣服にとまってもそのうち飛び去るから、手で払ったりしない。
- もしも刺されたら、ポイズンリムーバーで応急処置し、病院へ。
晩夏から秋は、集団生活をするほかのハチの攻撃性も増します。アシナガバチやミツバチにも注意してください。
アシナガバチ
ミツバチ
6.昆虫採集日記の書き方(夏休みの自由研究用)
夏休みの自由研究にするぞ、という子のために昆虫採集日記の書き方を指南しましょう。なあに簡単です。記録する内容は、昆虫の名前、大きさ、写真(手描きの絵でも可)、採集日、採集地、採集方法、感想。昆虫を捕まえていないなら、昆虫発見日記でもOK。
おわりに
少年時代、春から秋にかけて、毎日のように生きものと触れあい、まっ黒になって里山や野原を駆けまわっていたものです。
でもいまは都会暮らし。コンクリートジャングルでは虫なんて、害虫以外はめったにお目にかかれない。そう思っていました。実際、トンボやチョウ、バッタですら1年に数回見るかどうかという生活でしたからね。うちの子は生きものを見ると決まって「キモチワルイ」。もちろん、さわれない。
いかんなー、とは思っていたのですが、探してみると身近にこんなにもたくさんも生きものがいるのですね。眼が曇っていただけなのだと気づかされました。
昆虫採集に必要な道具&便利グッズ
採集した後はどうなさるのですか。標本ですか。
放してやってください。ただでさえ減りつつあります。彼らの生を尊重して、生態観察、撮影のみにしませんか。
むやみに手出しせず、そっとしておくことが、生態系のバランスをくずさないことになります。その1匹がいなくなると、それを食べていた者が飢えます。又、その虫に食べられていたものが数を増やします。そうやって生態系のバランスが崩れていき、人間にも影響してくるのですよ。勉強して下さい。
もし、あなたが虫で、誰かにつかまり、一切自由を奪われ、結婚もできず、となったら幸せですか。
この100年で、人類は地球上の生物種の3割を絶滅させました。このままいけば次の100年で、さらに8割近くの生物種が絶滅するといわれています。事実、世界人口が70億人を超え、この50年で魚介類の消費量は5倍に増加。このままでは海から魚がいなくなってしまう、そう心配する声も世界中であがっています。
農業で使用される農薬、あるいはもっと大規模な環境破壊や環境汚染について、山本さんはどう考えておられるのでしょうか。
生態系のバランスを崩しているのは、ぼくら大人です。
そしてこの事態に対処していかなくてはならないのは、いまの子どもたちです。その子どもたちに「虫は殺しちゃいけない。かわいそうだ」と教えることで、何かが変わるでしょうか。子どもが昆虫採集でつかまえてくる虫の数なんてたかがしれています。ぼくはむしろ、幼少期のそういう自然体験こそが大自然への愛着、畏怖と神秘の念を育て、命のはかなさや大切さを知ることにつながる、と思うのです。それがのちのち自然を守らなければならない、という意識につながってくるように思うのです。
というのは、ぼくの考え方というか、自然観です。山本さんのご意見がまちがっているというつもりはまったくありません。
コメント、ありがとうございました^^
私もヒワマリさんに同意します。
私は幼少期はそれほど好きではありませんでした。
ただ、ダンゴムシやテントウムシ、トンボだけは好きでよく取っていました。
取っては観察して話すだけです。
カブトブシやカエルはダメでした。
今、子供が2人いますが、虫嫌いの妻の影響もあり、特に長女が虫に対して過剰な反応をします。
ダンゴムシの死骸が怖くて、壁にへばりついてるカナブンが怖くて玄関のドアが開けられないんです。
ところが、先日の香川照之さんのカマキリ先生の番組を見て、私が子供たちに昆虫採集経験をさせようとすると、最初は怖がってた子供達がとてもイキイキし出しました。
チョウチョやトンボを自分で捕まえて喜んでました。
何も知らないから怖いだけ、実際に触れて実感して昆虫世界から学べることは多いはずです。
ゲームや机上では知り得ない、真に心を震わせる体験が、実は身近な世界に沢山あります。足元をみれば沢山転がってるのです。
その感動体験をさせ、心を震わせ、人を育てるのが親の世代の義務だと思ってます。
そして子供のおかげでまたこのような経験をさせてもらえてるコトに心から感謝してます。
だから私はヒマワリさんを全面的に支持します。
コメント、どうもありがとうございます^^
香川照之さんのあの番組、いいですよね!
部活でよく昆虫採集をする者です。
文化祭などで、標本を展示したり、体験会をしますが、男の子はたくさん参加してくれます。
私は小さい頃はカブトムシやクワガタムシなど好きだったのですが、今はハバチやヨコバイなど、小さい昆虫の魅力をよく感じます。
思うのは、昆虫採集ってよく子どもっぽいといわれますが、たいていの人って目の前を飛んでる小さな虫の名前も知らないんですよね。昆虫に関して無知なのに。馬鹿にするなんて、昆虫にも、昆虫好きにも失礼です。
哺乳類にある程度人気があるように昆虫も同じ生物、いやもっと前から反映してきた超機能的な生物として、もっと興味を持ってもらえると嬉しい限りです。
昆虫採集部? 科学部? そういう部活があるんですねー。楽しそう^^