もくじ
行動レベルの危険度をチェック!
ストーカー加害者の行動からみた場合の危険度はこの3段階です。
あなたがとるべき対策とあわせて解説していきます。
【危険度】低レベル
行動
あなたが嫌がっているのに、「好きだ」「愛してる」「交際しよう」「オレを捨てないでほしい」という電話がしつこくかかってきたり、メールが届いたりします。プレゼントが届くことも。
対策
【危険度】中レベル
行動
対策
相手の行動がストーカー規制法に抵触している場合、警察から「警告」を発令してもらうことができます。たとえば、先述したつきまといや待ち伏せを繰り返す行為、監視を告げる行為などはすべてストーカー規制法に抵触します。
「警告」を出してもらうには?
「警告申請書」を提出する必要があります。自分で書けます。難しければ、カウンセラーか法律の専門家(行政書士、司法書士、弁護士など)に書いてもらいましょう。このときかならず証拠が必要となりますので、それまでに集めた証拠を忘れず持参してください。
警告申請書を提出しなくても、警察が加害者に口頭で警告してくれることがあります。が、これはあくまで注意レベルのもので、法的実行力はありません。
なお、ただでさえストーカー行為によって、神経がすり減っているのに、警察にまで気を張って、抜け目なく対応しなければならない、というのはなかなかにつらいでしょう。やはり、この段階にくると、頼れる専門家を見つけておくのが得策かもしれません。
【危険度】高レベル
行動
あなたの身にすぐそこまで危険が迫っています。傷害事件や殺人事件に発展する可能性もあります。
対策
告訴状の作成は、弁護士に任せるとスムーズです。が、じつは警察で調書をとってもらうことでも告訴は可能なのです。担当の警察官に聞いてみてください。
暴力をふるわれたり、中傷ビラをまかれたりといった事実があれば、ストーカー規制法以外の法律で逮捕してもらうことも可能です。
被害者が被害届を出しただけでは、警察は動けません。彼らが捜査をおこなうためには、被害者の告訴が必要ということを覚えておきましょう。
注意
警察の捜査には時間がかかります。1か月以上かかることもざらだそうです。告訴に踏み切ったら、相手から身を隠すことが大切です。親戚の家に一時避難するとか、会社に相談して、待ち伏せされても見つからないように裏口から出入りするとか、できるかぎり対策を講じてみてください。
心理レベルの危険度をチェック!
行動レベルの危険性だけでなく、加害者の心理面の危険度も知っておくことが大切です。電話やメールなどでどんな発言をしているかをチェックすることで、判断可能です。
【危険度】低レベル
発言
対策
2人きりにはならないようにくれぐれも注意が必要です。会って話すなら、人気の多い場所で。できれば同性の友人に同席してもらいます。(男性を同伴すると加害者の嫉妬心に火をつけることになり、事態がさらに複雑に)。
話し方には注意を払いましょう。相手の自尊心を傷つけるようないい方はしないことです。とくに相手がしつこく電話をかけてきたりメールをよこしたりしているなら、「ストーカー予備軍」です。相手が本物のストーカーに変身するかどうかは、この段階のあなたの対応にかかっています。
【危険度】中レベル
発言
対策
注意すべきは、この段階になるともう直接電話したりメールしたりするのは避けるということ。家族や友人にストーカー行為を受けていることを打ち明け、味方になってもらいましょう。会社員の場合、上司や同僚にも話しておくのです。
相手がどんな行動に出るかあなたにはわかりませんからね。あなたの社会的地位や評判をおとしめようとたくらんでいるかもしれない。
ひとり暮らしの方は、いざというときにかくまってくれる友人や場所を確保しておきます。★証拠集めはおこたらないこと。
ちなみに、加害者が「おまえにいくら貢いだと思ってる。全額返済しろ」などいってきたら、じつはしめたものです。お金で解決できるから、むしろそのほうがいいので、金銭でカタをつけてしまうことです。
【危険度】高レベル
発言
対策
すでに警察が警告を出していて、それでもストーカー行為がやまない場合は、捜査してくれるようプッシュします。自宅付近を巡回パトロールしてくれるよう依頼する手もあります。
警察が積極的に動いてくれない場合は、あなた自身が告訴することもできます。告訴というのは、被害者たるあなたが捜査機関である警察に書面か口頭で犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求める行為をいいます。
ストーカー規制法だけでなく、相手の発言によっては脅迫罪が適用できる場合もあります。
ただし、ストーカー規制法の罰則は、
たとえ懲役刑を受けたとしても、この先もずっと顔を合わせないですむ保証はどこにもありません。悩ましいけれど、それが現実なのです。
いったんストーカーに遭ったら、どちらかが死ぬか、または相手が完全にあきらめてくれないかぎり終わりはきません。戦いは一生つづくのです。
まとめ
ストーカーの被害件数は年間2万件以上。ですが、このうち告訴に踏み切るのは1割にも満たないそうです。
被害者たちに、相手の報復を恐れる気持ちがあるからです。告訴して、一時的に逮捕され拘束されても、加害者はすぐ野放しになってしまいます。そのあとは自分で自分を守るほかない。
告訴したいのに恐怖心が勝ってできない、というなら、第3者に告訴してもらう方法があります。告訴は被害者の法定代理人がおこなってもいいことになっていますから、弁護士やカウンセラーなどに依頼しましょう。
事前に加害者へコンタクトをしてもらっておいて、代理人の存在を印象づけるとともに、代理人は告訴も辞さないぞという構えを見せておくのです。
そうすれば、告訴しても加害者の怒りの大部分は、あなたでなく代理人へ向けられるはずです。
いったん刑事告訴に踏み切ったら、もう2度と加害者とは顔を合わせないという覚悟が必要です。謝りたいから1度だけ会ってほしい、といわれても会ってはいけない、と専門家は口をそろえます。相手が許された、と都合のいい解釈をするからです。結果、またぞろストーカー行為が顔を出すケースもあるといいます。
ストーカーが一生塀の中に閉じこめられるということはまずありません。現行の法制度では、犯人釈放後の被害者をケアしてくれるルールも存在しません。被害者には不利な状況です。
不起訴になった加害者や、罪をつぐない社会復帰した加害者にその後も必要に応じ、専門家のカウンセリングを受けるように義務づける制度などができればいいのでしょうが、これはまだまだ先の話のようです。