毎日決まった時間に、同じ通学路や通勤路を通って通学、出勤し、同じような時間帯に帰宅。途中、いつものコンビニやスポーツクラブに寄って……。
こんなワンパターンの生活は、ストーカーにとっては隙だらけ。待ち伏せするにも好都合です。
行きつけのお店をつくらない、というのは難しくても、せめて複数のお店をアットランダムに利用するように心掛けたいところです。
ストーカー対策に有用な知識とテクニックをご紹介します。つきまといや監視、暴力的な言動、嫌がらせ電話やメールなど、ストーカー行為の種類に合わせて対処法は変わってきます。
もくじ
ストーカー行為の中身に合わせた対処法で、ストーカーを撃退
1.つきまといには?
原則として、ひとりで行動しないこと。外出時は、自家用車かタクシー、バス、電車などを使うようにしましょう。駅やバス停から自宅まで距離があるなら、ひとりで歩くのは避けてください。家族や恋人、友人などに迎えに来てもらうようにするとベターです。これが難しいなら、交番のある通りや、お店が多く、人通りの多い大通りを往きましょう。
ストーカーに接触のチャンスを与えないことが大切です。通勤路や通学路はいくつかのルートをアットランダムに変更すると◎です。
夜道を歩くとき、不安だからといって、友人や家族と電話で話しながら歩くなどいうのはもってのほかです。周囲への注意がおろそかになり、ストーカーが接近してきても気づかない恐れがあります。同様の理由から、音楽を聴きながらの移動も避けるようにしましょう。
マンションのエレベーターなどは注意が必要です。ストーカーが後から乗り込んできたら、逃げ場がありません。乗り込む際は、周囲に注意を払い、乗り込んだら操作パネルの前に立って、非常ボタンをすぐに押せるようにしましょう。
いつでも助けを呼べる状態にしておくべきです。ケータイやスマホは常に手の届く範囲に置いておき、短縮に110番を入れておくなどして、暗がりでも手探りで発信できるよう練習しておきましょう。
ストーカーの気配を感じているなら、防犯ブザーはマストアイテムです。恐怖で喉が締めつけられて、大声が出せなくなることもあります。警備会社に自分の居所を知らせる「緊急警報装置」(要契約)を携帯するのも手です。セコムの「ココセコム」などが有名どころです。
もし、ストーカーが目の前に現れたら、ひとり住まいの方は、近くの交番やお店に逃げ込んで助けを求めてください。自宅に押し込まれたら、そこは密室です。
できればドアの鍵は二重にし、ドアモニターやセンサーライトといった防犯グッズを活用するのも賢い手です。
2.監視されているなら?
「昼間、あそこのカフェで男と会っていたね」「今日はきれいな緑の洋服を着ていたね」といってみたり、帰宅したタイミングで「お帰り」と電話やメールをしてみたりするのです。
こうしたケースでは、状況をこまかくメモしていき、警察に相談しましょう。
カーテンは室内が見えない分厚いものに変え、在宅時はしっかりとカーテンを引いて、なかをのぞかれないようにしましょう。郵便受けには、かならずカギをかけてください。郵便物は、個人情報満載ですから、盗み見られないように気配りが必要です。個人情報が記載されている書類は裁断してから捨てましょう。
書類の裁断には、家庭用のシュレッダーなどが便利です。
なお、頭に書いたように、黙々と監視行為をつづけるストーカーは少ないかもしれませんが、あなたが知らないうちに盗聴器を仕掛けている可能性はおおいにあります。盗聴器の有無を調べる場合、少し前まではプロに依頼するほかありませんでしたが、昨今では盗聴器を自分でみつけられる探知器などもお目見えしています。
3.交際や復縁を要求されたら?
きっぱり拒絶しましょう。あいまいな態度は、相手に勝手な期待を抱かせます。そういう余地を与えないことがまずは大切です。絶対に2人で会わない、電話に出ない、手紙やメールに返事しない、こうしたことを徹底し、はっきりと意思表示をおこなってください。
4.乱暴な言葉遣いには?
出歩くときは、防犯ブザーを手放さず、危険を感じたら、すぐにブザーを鳴らすか大声を出すかして、助けを呼んでください。襲われる心配が少しでもあるなら、外出時はヒールの高いクツを避けて。走りやすく、動きやすい格好で出掛けましょう。
いざというときのため、簡単な護身術をマスターしておくのもおすすめです。なかには、スタンガンや催涙スプレーといった護身グッズを持ち歩いている方もおられるようですが、過剰防衛になる恐れがありますから、どうしても携帯したいというのなら、警察で1度、相談してみてください。
相手の言動はすべてメモをとっておきましょう。警察に相談する際や、告訴の際の証拠になります。スマホやICレコーダーなどを用いて、相手の発言を可能なかぎり録音しておきましょう。
5.無言電話、連続電話、しつこいメールには?
とはっきり告げてください。まずは拒否の姿勢を示すことが大切です。そのあとは、着信拒否でOKです。ケータイやスマホは、標準で着信拒否ができます。固定電話はナンバーディスプレイ機能のついた電話を使いましょう。
電話会社に相談するのも手です。昨今は、迷惑電話対策サービスも充実しています。なにより、餅は餅屋。電話のことなら電話会社は手慣れたものですから、さまざまな方法を提案してくれます。
ストーカーからの電話に出る必要はありませんが、着信履歴は消さず、残しておきましょう。メールやファックスなどが届いたら、すべて保存、保管しておきましょう。いざというとき、あなたの発言を裏づける証拠になってくれます。
電話番号やメールアドレスそのものを変えてしまうという対処法もありますが、証拠集め、という点を考えると、どちらがいいともいいきれません。
6.汚物や動物の死体などが届いたら?
迷わずすぐ警察を呼びましょう。
送り主不明の宅配便などが届いたら、中身はチェックせず、受け取りを拒否しましょう。「ストーカー行為を受けていて、これは加害者が送付した可能性があるから、受け取り拒否させてください」と配達員の方に伝えれば、そのまま持ち帰ってくれます。
ドアの前に段ボール箱が置いてある、というような場合も、箱を開けたりせず、警察を呼びましょう。
7.名誉を傷つけるような行為には?
冷静になるよう努めてください。加害者はどんなかたちでもいいから、あなたに反応してほしいと願っています。あるいは、動揺したり怒ったりする姿をみて喜んでいます。感情的になってしまうと、相手の思うツボなのです。
8.わいせつな文書や写真などが届いたら?
すべてを保存、保管しておきましょう。最近はネット上に、恋愛期間中に撮った被害者の裸体写真を掲載したりといった卑劣な手口もみられます。これを「リベンジポルノ」といいます。
リベンジポルノは立派な犯罪です。名誉毀損、わいせつ等の罪に該当します。ストーカー行為としておこなわれる場合は、ストーカー規制法に抵触します。警察に通報しましょう。
感情的にならず、ひたすら証拠集めに徹する
ストーカー行為のすべてをノートに記録し、証拠になりそうなものはなんでも保存、保管する、という気構えが大切です。相手には毅然とした態度で挑み、けっして屈しない。気持ち悪いからといって忘れたり捨ててしまったりしないことが大切です。
すべてが犯罪を証明する証拠になります。できることなら、電話の通話内容なども録音してしまいましょう。Androidスマートホンなら、無料アプリで相手に気づかれることなく簡単に録音できてしまいます。iPhoneや自宅の固定電話には、録音機能はありませんが、ICレコーダーを受話器にあてて録音する、という手があります。
最後になりましたが、すでにストーカー被害に遭っているというなら、迷わず早急に警察に相談してください。昔とは状況が違います。ストーカー規制法も使える法律に育ってきています。判例や実績もあります。
警察がしてくれることの幅は着実に広がっています。