もくじ
つきまといなどを繰り返すのがストーカー
ストーカーというのは、好意や怨恨といった感情から、執拗に電話やつきまといなどの迷惑行為を繰り返すことをいいます。
多くの場合、加害者の心は、過剰な、あるいはゆがんだ好意に凝り固まっていることが多く、自分で自分の感情のコントロールがきかなくなっています。あるいは、強い愛情がなにかのきっかけで憎しみへと反転し、ストーカー行為に発展する、というケースもあります。
いずれにせよ、ストーカー行為を繰り返し受けていると、被害者は大きな精神的不安やトラウマを抱えることになりますから、早急に解決することが大切です。犯人が凶悪な場合、被害者の家族や親族にも被害がおよぶこともあるのです。
多いのは、元恋人や元夫婦のストーカー
警察のデータによれば、被害者の8~9割は女性だそうですが、じつは男性は被害に遭っても警察に相談しないケースが少なくありません。このことから、男性被害者も相当数いるのではないかと推測する専門家もいます。
もっとも多いのは、元恋人や元夫婦が、痴情のもつれからストーキング行為におよぶパターン。ただし、加害者と被害者にほとんど面識がなかったり、他人同然の関係だったりするケースも少なくはありません。こうしたケースでは、加害者が一方的に「気に入られた」という思い込みや、「冷たくされた」という勘違いを抱えていることが多いようです。
このグラフを見てもわかるとおり、ストーカーの8割近くは顔見知りの犯行ですが、2割程度は被害者にはまったく身に覚えのないものなのです。
ストーカー行為の分類
ストーカー行為というのは、大きく分けると次の7つに分類できます。
- つきまとい・待ち伏せ・押し掛け
- 面会・交際の要求
- 無言電話・連続した電話、ファックス
- 名誉を傷つける
- 監視していると告げる行為
- 乱暴な言動
- 汚物など不快な物の送付、性的しゅう恥心の侵害
もっとも多いのは、やはり②の交際や復縁の要求です。ストーカー行為を働く目的そのものですから、これは当然ですね。ついで多いのが、①のつきまといと③の無言電話、連続電話です。
7つのストーカー行為について、具体的などんなものがあるのかをご紹介しておきます。
1.つきまとい・待ち伏せ・押し掛け
- 尾行する。
- 通勤路などで待ち伏せる、立ちふさがる。
- 自宅や会社、学校の近くで見張る。
- 自宅や会社、学校に押しかける。
2.面会・交際の要求
- 交際や復縁、デートをしつこく要求する。
- プレゼントを受けとるよう要求する。
3.無言電話・連続した電話、ファックス
- 電話をかけて、黙っている。
- 拒否されたにもかかわらず、何度も電話やメール、ファックスをする。
4.名誉を傷つける
- 相手を中傷したり、傷つけたりする内容の文書などを送りつける。
- ネットの掲示板やSNSなどに、悪口を書き込む。
- 会社や自宅などの付近で中傷ビラをばらまく。
5.監視していると告げる行為
- その日の洋服の色や、どこへ行ったかなどを告げ、監視しているとにおわせる。
- 帰宅直後に「お帰り」などと電話やメールをする。
- ネットの掲示板やSNSなどで、あなたの行動に関する書き込みをする。
6.乱暴な言動
- 「バカ野郎」などと乱暴な言葉を投げかける。
- 大声を怒鳴る。
- 家の前で、クルマのクラクションを鳴らす。
7.汚物など不快な物の送付、性的しゅう恥心の侵害
- 汚物を自宅に送る。
- 動物の死体など、不快感や嫌悪感を与えるものを送りつける。
- わいせつな写真などを送りつける。
- わいせつな写真をネットにアップする。
- 電話や手紙で、卑猥な言葉を使う。
こうした嫌がらせを受けているなら、ストーカー規制法が味方になってくれます。警察に相談すれば、さまざまなアドバイスが受けられますし、加害者へ警告を発してもらうことも可能です。
明日はわが身!? 急増するストーカー被害を避けるには?
ここ数年、ストーカーの発生件数はうなぎ登りです。すでに年間2万件を軽くうわまわっているのです。しかも、この数字はあくまで警察への相談件数。被害に遭っていても、警察に相談しない(できない)ケースも少なくないことから、実際の被害者数はこんなものではすまないだろうと予想できます。
警察に駆けこめないケースとは、たとえば不倫相手がストーカー行為を働いているため、おおごとにしたくない、家族に知られたくないといったケースなどです。
ストーカー被害に遭わないためには、日々の行動に注意を払うこと――などとよくいわれますが、現実問題として、自分がストーカー被害者になるかもしれないなどと想定しながら暮らしていくことは不可能です。
一見、ストーカーなどにはなりそうもない人がストーキングをおこなっているケースも多いですし、だからといって周囲の人間すべてをストーカー予備軍と決めつけたりしていると、人間不信か対人恐怖症か、そうでなくとも神経衰弱になってしまいます。
大事なのは、「もしも」のときに備え、自分を守る方法と法律を知っておくことです。そして、万が一「もしも」の事態が起こったら、凶悪な事件に発展する前に片をつけてしまうことなのです。