DV夫やストーカーから逃げたのに居場所がバレるのはなぜ?

なぜ?

DVようやくDV夫やストーカーから逃げおおせても、避難場所が知られてしまっては元も子もありません。今後の対策をじっくりと練って、これからの生き方に思いを馳せるためにも、相手に居場所をつきとめられてはなりません。

ところが実際には、避難場所へ加害者が押し掛けてくるケースがあとを絶たない。彼らはいったいどうやって被害者の足跡をたどるのでしょう。

同じ轍を踏まないためにも、よくある事例を知っておきましょう。

1.住民票を移した

当然ながら住民票を異動移動させれば、簡単に居所がバレます。

そうはいっても、児童扶養手当の受給といった公的サービスを利用するには、住民票を異動させなければならないこともありますね。どうすればいいのでしょう。

管轄の役所に相談すればOK。現在、DVやストーカーから逃げている方については、戸籍の附票や住民票などの開示を制限できるようになっています。

手続きは簡単。申し込みをすませればOKです。住民票の異動はそのあとでおこないます。

2.それでもバレた! どうして!?

開示制限の申し込みをおこない、万全を期していたつもりなのにバレてしまう、ということがあります。

どうしてだと思います?

親兄弟や友人が口を滑らせてしまうのです。加害者の口車に乗せられ、あるいは同情し、あるいは脅迫に屈して喋ってしまう、というケースは少なからずあります。

できうることならば、実家や友人知人にも避難先を教えないほうが無難です。

3.健康保険証から足がつく

ストーカーは赤の他人ですから、あなたがどこで保険証を利用しようと関係ありません。が、あなたが配偶者の被扶養者だという場合、保険証を使ったことがきっかけとなって、一時避難先が発覚する恐れがあるのです。実際にそうしたケースが起こっています。

保険証を使うと、医療関係の通知が夫の暮らす自宅に届くことがあり、どこの病院を受診したかバレてしまうのです。

これを避けるには、病院で診察を受けるまえにしっかりと事情を説明し、もし相手方から問い合わせがあっても自分の住所や電話番号を教えないようにしてほしいときちんとお願いしておきましょう。

昨今はDVへの理解が深まってきています。たいていの病院は対応してくれるはず。しかし、もし個別対応が難しいと断られたら、そのときは別の病院をあたりましょう。

なお、夫とは別の健康保険に加入しているなら問題ないのですが、あなたが夫の被扶養者である場合はやっかいです。一家に1枚しか健康保険証がなかったのなら、そもそもそれを持ちだすわけにはいきませんし、そうでなくてもいろいろな問題が発生します。

次は、この “いろいろな問題” の対策についてです。

健康保険証を持ち出せなかった! どうすればいい?

家族で1枚の保険証を使っていたり、うっかり持ってくるのを忘れてしまったりして、健康保険証が避難先にない、という場合、どうすればいいのでしょう。

国保の場合

国民健康保険ならなんとかなります。

夫と世帯を別にすればOK。そのためには住民票を異動するか、住民票はそのままにしておいて世帯を分ける方法があります。いずれもしろ、役所の窓口で聞けば、やり方を教えてもらえます。

社保の場合

社会保険の場合、一筋縄ではいきません。

【参考】社会保険(健康保険の一種)の種類社会保険は被用者保険とも呼ばれ、会社員の社会保険には「健康保険組合」(通称、健保組合)や「全国健康保険組合」(教会けんぽ)があります。

公務員の社会保険は、「共済組合」となります。

一般に、単身赴任などで家族が別々に暮らす場合、社会保険では「遠隔地証」を発行してもらいます。けれどもいまは事情が事情。馬鹿正直に「あなたから逃げるつもりなので、遠隔地証とやらを交付してもらってほしい」などいおうものなら、さらなる暴行を受けかねません。へたすると監禁されます。

こうなると、逃げたあとで、夫の健康保険から脱退し、国民健康保険などへ自分で加入するほかありません。しかしながら、ここでもまたが問題が発覚します。脱退の手続きは夫にしかできないのです。こちとら逃走中の身。こちらから連絡をとるわけにもいかないでょう。

が、じつはまだ2つ、打つ手があります。

  1. 生活保護を受給し、医療券を発布してもらう
  2. 配偶者暴力相談支援センターか役所で、特別措置を検討してもらう

当節、DV被害者はさまざまな便宜をはかってもらえるようになってきています。

保険証の特別発行や、生活保護の優先的な受給なども、配偶者暴力相談支援センターや役所の方々の尽力とはからいによって実現するケースが少なくないようです。