1000万円プレーヤーの条件(ITコンサルタント)

高層階のオフィスから見下ろす下界

厳しい転職市場のなかで、給与面をめぐる条件も厳しさを増しています。こうした状況下、どんな人なら、より高い評価を得ることができるのでしょうか。

今回は、IT系のコンサルタントのケースを例に引き、転職を経て「年収1000万円」を実現する条件について考えてみたいと思います。

年収1000万円はトップ層の入り口、その条件とは?

ひと口にIT系のコンサルタントといっても、給与水準の格差は小さくありません。ほかの職種に比べて好条件であることが多いものの、それでもアンダー500万円、トップ2000万円以上と開きが大きいのが実状なのです。

トップ層の入口と捉えられることの多い「年収1000万円」を得るには、どんな仕事をする必要があるのでしょうか。

某人材スカウト会社の社長に聞いたところ、年収1000万円クラスの方の場合、企業の戦略をITシステムへ落とし込む能力や、システムを構築・運用する際のトラブルシューティング能力は不可欠とのこと。大規模なシステムの上流から下流に精通し、設計フェーズで主導的な立場になって動いた実務経験なども不可欠といいます。

さらに、同社長が指摘するのは、プライベートを含む社外の人脈です。「たとえば金融業界なら、ほとんどの大手金融機関の情報システム部の責任者を知っており、その何人かとはプライベートでも交流がある、というふうなことです」

実際には、どんな人物が1000万円の壁を乗りこえるのか

都内の人材紹介会社2社に以前、「年収1000万円」の条件について、電話で取材したことがあります。両社をかりにA社とB社とすると、A社からは「経験面では、大企業のシステムか、中小企業でも大規模なシステムの導入歴があり、CRM、SCM、ERPの3本柱をすべて押さえていれば有効打となるはず」という答えが返ってきました。

「人物面では、『とにかく話し上手で、人を引き込む魅力にあふれている』といったプレゼンテーション能力、品格に裏打ちされた営業力、メンタル的なタフさが必要。実際の現場はやはり泥臭いものですからね」

以下は、A社が転職をサポートし、みごと年収1000万円を勝ちとった男性のケースです。

☑ あるベンダーで7年の経験を積んだ32歳男性の場合
大手コンサルティングファームへの転職で年収1000万円を実現。決め手は人物でした。CRM、SCM、ERPのうちSCMにはとても弱かったのですが、話し上手で人を引き込む魅力が決め手になりました。

一方、B社は年収1000万円の最低条件として「開発現場の経験と中規模以上のプロジェクトマネジメント経験」を挙げました。「そのうえで、金融、製造、流通などの業界的な、あるいは経理、企画、営業などの業務的なコア知識は強みとなります」。

ただし、「ある大手コンサルティングファームでは、顧客開拓はシニアマネージャー(1200万円クラス)から。1000万円クラスなら、営業力はそれほど問われないケースもあり、こうしたケースではとくにマインドが決め手」とのことでした。

以下は、B社が手掛けた、転職で1000万円プレーヤーへのステップアップを実現させた例です。

☑ 34歳で外資系ベンダー研究所員から大手コンサルファームに転職したケース
この方は転職後、年収200万円アップで1000万円を超えました。この人のウリは、抜群の技術的スキルに加え、システム導入後、クライアントの教育までもできるプロジェクトマネジメント能力の高さ。専門的な知識を、素人にかみ砕いて説明することが大きな評価を集め、1000万円プレーヤーになりました。

技術力だけでなく、対人能力と人脈が必要条件

1000万円プレーヤーの条件として多くの方が指摘しているのが、技術的なスキルの高さとコミュニケーション能力、人脈です。

社内外のさまざまな人たちと協調してプロジェクトにあたるという職業柄、人柄や人間性が問われるのは当然です。転職の場合、企業はスキルそのものだけではなく、その人の背後に広がるコネクション、ひいては新規クライアントにも期待を寄せている、ということなのです。

むろん、すべての1000万円プレーヤーがこうしたものを全部、兼ね備えているわけではありません。いかにバランスのとれた人材か、これがカギを握っているのです。

photo credit: kevin dooley via photopin cc

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