前回の記事(医療事務)のつづきです。
通信教育大手で「医療事務」につぐ人気の「調剤薬局事務(調剤事務管理士)」について、取得メリットや実社会での待遇、勉強方法、活かし方などをまとめてみたいと思います。
もくじ
「調剤事務管理士」を取得すれば、就職・転職に有利
調剤薬局事務の仕事は、保険調剤薬局で、処方せんの受けつけや会計業務などをおこなうもので、薬剤師の右腕のような存在です。
競争の激しい医療事務を避け、調剤薬局事務の資格である「調剤事務管理士」を受験する、というのもかしこい選択肢です。
調剤薬局事務の仕事は資格がなくても就けますが、資格を持っていれば、就職や転職に有利。すでに薬局で働いている方の場合、給与や福利厚生などの待遇がアップしたというケースもあります。
受験者数は年間2万人前後。試験は1年間に6回も実施していますから、「取るぞ」と思い立ったら、その勢いで勉強し、最短3か月くらいで取得することも十分に可能です。
受験まで、半年や1年くらい待たされる資格も少なくないなか、この点はありがたいですね。
合格率50%以上と、難易度は低め
医療事務もそうですが、「調剤事務管理士」の試験は、座右にテキストを置いて受けられます。つまりは、カンニング公認(笑)ですので、数字や数式の丸暗記は必要ありません。
調剤薬局事務の仕事が、そもそも資料を参照しながらおこなうものだからですね。
それと、調剤薬局事務が扱うのは、薬剤分野のみです。医療事務より勉強範囲が狭いので、難易度は低いです。まったくの未経験者でも無理なくスキルを習得することが可能なレベルです。
試験勉強は、手元の資料を見ながら、繰りかえし問題を解いていけばOK。これを毎日継続してつづけていけば、やがてはだれでも書類作成のスピードがアップします。こうなれば、もう合格圏内です。
好待遇は期待できないが、一生のスキルとして役立てられる
調剤薬局事務の職場は、調剤薬局や医療機関、ドラッグストアなどです。
「調剤事務管理士」は、わりと手軽に取得できる資格ですから、待遇面での優遇は期待できません。勤務時間は長めだし、給与も思っているより安いかもしれません。よくて年収300万円程度でしょう。職場にもよりますが。
半面、調剤薬局事務のスキルは全国共通で、いったん習得すれば、一生モノになってくれます。結婚や出産などでいったん離職しても、資格と経験があれば復職は容易です。調剤薬局事務の仕事は、パートや派遣といった形態の求人も少なくありませんので、家事や育児との両立がしやすいといえます。
こうしたことから、若い女性たちのあいだで、「調剤事務管理士」は、医療事務につぐ人気を誇っているのです。
「調剤事務管理士」の応募要項
応募要項を以下に記します。
- 受験資格
- だれでも受験可
- 試験科目
- 実技試験/レセプト(調剤報酬明細書)の作成および点検、全3問
- 学科試験/法規(医療保険制度、調剤報酬の請求に関する知識)、調剤薬局請求業務(調剤報酬点数の算定、調剤報酬明細書の作成、薬剤用語についての知識)
※マークシート方式 - 申込期間
- 受験月の前月末日必着
- 申込方法
- インターネットかコンビニエンスストア端末、申請書にて申し込む
- 試験日
- 1月、3月、5月、7月、9月、11月の年6回(第4土曜日)
- 試験地
- 指定会場、受験申請のあった各種学校など
- 合格発表
- 試験後1か月以内に文書で通知
- 受験料
- 5500円
- 問い合わせ先
- 技能認定振興協会?03-3864-3559
就職活動や転職活動を有利に進めるには?
医療事務の資格と同様、「調剤事務管理士」の資格はあくまでお守りなのだという意識を大切にしてください。医療現場において、こうした民間資格は、資格と認められていませんから、胸を張ってアピールしたりすると一笑に付されます。
面接時に資格を取得した目的を聞かれたら、「仕事内容や、現場の雰囲気を事前に知っておきたかった」「やる気をアピールしたかった」などと返しておくのがベターです。
それからもうひとつ、調剤薬局事務への就職・転職を有利にしてくれる方法があります。医療事務の記事にも書きましたが、パソコンの利用スキルが習得できる事務系資格をゲットするのです。「調剤事務管理士」のことをよく知る医師両関係者も、PCスキルの資格についてはさほど明るくないはずです。その間隙を突くのです。
マイクロソフト製品の利用技術を認定する「MOS試験」などは、日ごろパソコンをよく使うという方なら、簡単に取得できますし、世間での評価も上々です。「調剤事務管理士」の資格と合わせて持っていれば、頼れる味方となってくれますよ。
写真/Pharmacy 岐阜薬科大学附属薬局 / Yuya Tamai
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