経理・財務・会計、ビジネス系資格で手堅い人生設計

経理や財務のイメージ

このごろ、公務員人気が再燃しているようですね。

ぼくらの親世代――団塊の世代は、お役人の “うみま” をよく知っていて、コネを使ってでもわが子を官公庁に放りこもうとする向きもあったのですが、そのジュニア世代であるぼくらは「いまどき公務員を目指すようなヤツは気骨がない」とかなんとかいって、馬鹿にしていたように思います。

ところが、いまの学生たちはまた、古い世代と同じことを指向しはじめている。

無理もないですね。こんな時代ですから。

気骨で飯が食えない、ということは、ぼくらももう身に染みて知っています。ぼく自身、フリーランス(傭兵)の響きにあこがれて、会社を辞めたところまではよかったけれど、からだを壊したら、全部が泡のようにパチンと弾けて消えた、という経験をしています。つぶしのきく資格でも持っていたらなあ、と真剣に悔やんだことだってあります。

つぶしのきく資格の代表といえば、ビジネス系の資格。ちょっと強引な文脈ですが(笑)、以前、ビジネス系資格の大手専門学校に何度か取材したことがありますもので、今回はそのときに聞いたことをつづってみようと思います。

「簿記」は実務に活かせるうえ、即戦力としても評価される

経理・財務・会計関連のビジネス系資格の代表格は、なんといっても「簿記」です。

ビジネス系資格の人気ランキングでも、「簿記」は常に王座に君臨していますし、すべての資格のなかでも上位ランクをキープしつづけています。

TOEICや英検とならんで、とにかく人気があります。

受験者数のトップ3を見ても、これは明らかです。

ビジネス系資格の人気ランキング
1位 日商簿記検定試験
2位 秘書技能検定
3位 衛生管理士者

(2012年度の受験者数から)

会計処理を知ることは、会社のしくみを理解することにつながります。

学んだことがそのまま仕事に役立つとあって、「簿記」は昔もいまも経理・財務部門への就職・転職には大きなアドバンテージとなります。経理・財務部門に在籍している方なら、2級以上を取得すれば、社内での評価もぐっとアップします。

さらには営業など他部門へ配属になったとしても、この知識は活かすことができます。

景気に左右されない、確実な需要を擁しているスキルですから、獲得することで幅広い業界を狙えるようになります。

日商簿記検定
簿記検定の実施団体はいくつかありますが、日商の検定がもっともメジャーです。1~4級まであって、一般企業で評価の対象となるのは2級から。2級は数字に自信があるなら、独学でも取得可能なレベルです。1級が手に入れば、業界問わず、高い評価を得られます。営業が幅を利かせる会社などでは軽く見られがちですが、「簿記」は好不況や時代に関係なく、コンスタントに需要がある手堅い資格。人生にもっとも大切なものは安定、という方にはもってこいです。簿記の記事へ。

なお、取得には地道な努力の積み重ねが必要です。3級以下は高校生でも合格するケースが多いですから、資格取得をキャリアと結びつけて考えるなら、まずは2級を目指すのが妥当なセンです。

2級の難易度は高校レベル。合格率は30%前後。取得すれば中堅企業への門戸が開かれますし、数千円の資格手当がつく会社も多いです。

1級は大学レベル。難関です。取得すれば、大手企業が射程圏内となります。資格手当を1万円以上もらえる会社も少なくないです。

繰り返しになりますけれど、経理・財務部門では業界問わず、資格の有無が社内評価の重要な基準となっています。昇給や昇進のモノサシだ、ということです。

その中心にあるのはやはり「簿記」ですから、まずは「簿記」の2級、そして1級を取り、その先は計画的に上位資格を取得していくとベターです。きっと順調に出世の階段をのぼっていけることでしょう。

「簿記」を踏み切り板に、上位のビジネス系国家資格を狙う

「簿記」が足がかりとなる上位資格には、「税理士」「公認会計士」「中小企業診断士」などがあります。

税理士
税務処理のスペシャリスト国家資格です。取得すれば、企業や個人の税務業務を代行したり、税関連の書類を作成したり、相談に乗ったりといった仕事を請け負うことができます。独立開業を夢見ているなら、絶対におすすめです。しかしながら超難関。休日はもちろん、通勤時間や昼休みなどもストイックに勉強に充てる必要があるでしょう。
公認会計士
経理関連の資格のなかでは最高峰の国家資格です。法人の財務処理の監査や証明が職務の軸となります。公認会計士でなければ関われない仕事も多く、社会的信頼はバツグンに高いです。ただし、こちらも一筋縄ではいかない超難関です。
中小企業診断士
上記の2つの資格よりは狙いやすい国家資格です。読んで字のごとく、中小企業の経営内容をチェックし、アドバイスをおこなうのが主業務。経営コンサルタントとしては国内唯一の資格ですから、ステイタス感は満点で、社会的信頼も高く、国内企業の9割を占める中小企業の社長さんがたから頼りにされます。学んだことが仕事にそのまま役立つので、ビジネスマンに人気が高い資格でもあります。

この3つはすべて独立系の国家試験ですから、持っていれば、たとえリストラされたとしても食いっぱぐれる心配はありません。

独立も十分に可能です。

ビジネス上の身近な法律が学べる「ビジネス実務法務検定試験」

ビジネスマンのキャリアアップや実務に役立つ公的資格を最後にひとつ紹介しておきます。

「ビジネス実務法務検定」です。

このところ受験者数がじわじわと増加している人気資格です。

営業職でも3級を受験するという人は少なくないようですし、とくに法務部に在籍している方なら2級はほしいところ。その後、「行政書士」や「司法書士」を目指すというプランを描けば、企業法務の優等生として評価されることでしょう。

ビジネス実務法務検定試験
ビジネス上のさまざまなトラブルを回避する法律知識が取得できます。1~3級まであり、1級は社会人なら身につけておいて損はない知識が得られます。2級以上は法務部門への異動を希望しているか、すでに所属しているという人向けです。1級は難関で、取得のための勉強には1年以上かかるといわれていますから、狙うなら心してとりくんでください。

なお、経理・財務部門の仕事では、扱う数字は会社の経営状態の指標となる重要なものです。

ミスは許されません。

細かな数字を扱うことにおもしろさを見いだせる人はいいですが、もともと数字にアレルギーがある、なんていう人は最初から関わらないほうが身のためです。

老婆心ながら。

photo credit: laverrue via photopin cc

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