17~18世期のヨーロッパで人気だった理論。国家の起源について語っている。近代社会の黎明期の資本家たちの政治理論でもあった。
人間はもともと自然のなかで自然法にもとづいて国家も法律もなしに生活していたけれども、やがて自分たちの生命や自由、財産を守るために個人の自然権を抑圧し、社会全体としての利益を守るべく自発的かつ合理的にルールを定めることにした。
さらには、その番人としての主権者を擁立することにも合意した、これが国家の起源だ、という考え方。
自然権を抑圧、と書いたが、なにも自然権を放棄したわけではない。社会契約説の大前提として個人の確立があり、自由意志にもとづく平等な個人間の契約によって、人間は自然状態から抜けだし、国家をつくりあげる、という。
ホッブズの『リバイアサン』、ルソーの『社会契約論』、ロックの『統治二論』などが有名。
「民約説」「契約説」とも。