痴漢やストーカー、ひったくりなど、現代の日本ではいつどの方角から危険や災難が降りかかってくるかわかったものではありません。よそ者の監視役、犯罪抑止力として機能していた、かつての日本の地域社会はもはや崩壊寸前。勝手知ったる自分の街でさえ、どんな人物がまぎれこんでいるかわかりません。
こんな時代、簡単な護身術を身につけておくことは、とても心強いものです。護身術というのは、あくまで自分や大切な人を守るためのコツです。逃げるための、あるいは相手をひるませ、そのスキに助けを呼ぶためのテクニックです。相手を積極的に攻撃し、痛めつけるためのものではありません。
本当なら、使わないにこしたことはありません。血の気の多い相手にヘタに護身術など用いれば、かえって相手を怒らせてしまうこともあり、危険性が増すこともあるからです。
でも、いざというときはこれがある、という「奥の手」を隠し持っていることで、気持ちに余裕が生まれます。暴漢に襲われ、普通なら極度の緊張状態やパニックにおちいってしまい、叫び声すら出せなくなるところが、護身術を身につけていたことで冷静に対処でき、あぶない局面を乗り切る、ということも少なくないのです。
護身術の基本ルールや、暴漢への対処方法について解説します。
もくじ
護身術の基本ルール
無事にトラブルを回避し、帰宅することが目的です。相手に致命傷を負わせる必要はありません。相手は男性ですから、やはり腕力ではかないません。大ケガをさせて、逆上されたらやっかいです。
これから身につける護身術は、相手があなたを女だとあなどり、油断しているその一瞬の隙をついて不意打ちを食らわし逃げるためのもの、とまずは心得てください。
目的はこの1点に尽きます。
痴漢やストーカーは「急所」を狙え!
頑丈な男性でも鍛えられない部分があります。これを急所といいます。急所を狙えば、非力な女性でも大きなダメージを与えることができます。男性最大の急所は「股間」ですが、このほかにも顔面、喉や首、みぞおち、肋骨、ひざ、手首、足首など、人間の身体にはいたるところに急所があります。
こうした「弱点」を的確に攻撃することで、わずかなチカラでも相手をひるませることができるのです。
もちろん、人間は通常、急所を守りながら生きています。本能です。ただし、男性が女性を襲う場合は、反撃されるはずなどないと高をくくっています。そこにこそ、勝機あり。不意をついてやるのです。
◇人間の急所
護身術の説明にあたっては、インディアナ・ジョーンズ氏と白井黒子さんに実演いただくことにしました。動きを説明するのにどうしても絵が必要だけれど、絵心がまるでないしどうしよう、と悩んでいたとき、可動式フィギュアを使え! と天啓がひらめいたのでした。日本の女性を守り隊にフィギュア遊びの趣味はありません。
状況に合わせた護身術
電車内
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路上、屋外
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いざというとき、日ごろの鍛錬が物を言う
護身術は格闘技ではありません。ルールもなければ、試合開始の合図もない。卑劣な犯罪者は、いつもあなたの不意をついて襲いかかってくると心得てください。そんなとき、物を言うのは、日ごろの練習の成果です。家族や友人知人を相手にしっかりシミュレーションしておくことが肝要です。
そうすれば、急なトラブルにも、パニックを起こさず、冷静に対処することができるはずです。