DV(ドメスティック・バイオレンス)というのは、日本語でいうと「家庭内暴力」。
かつては「男性である夫が、女性である妻に対し働く肉体的暴力」としてとらえられていましたが、じつは昨今はもっと広い概念として使われています。
あなたが受けているその行為、あなたが普段おこなっているその行為がもしかするとDVに該当するかもしれないのです。さっそく、DVとはなにか、を見ていきましょう。
もくじ
ドメスティック・バイオレンス(DV)とは?
1.肉体的な暴力だけでなく、精神的な暴力もDV
DVに含まれるのはもう、身体的な暴力だけではありません。DV防止法では、簡単にいってしまえばDVを、
- 配偶者からの身体に対する暴力
- 心身に有害な影響をおよぼす言動
の2つとしています。
つまり、妻を罵倒するという行為も、度が過ぎればいまは立派な犯罪ですし、いやがる妻を相手にむりやり性行為をおこなう、というのもDVです。
ちなみに、1の「配偶者からの身体に対する暴力」には、生命や身体に危害をおよぼすような激しい暴力は含まれません。どういうことかというと、命が危険にさらされるような暴力や、妻がケガをするような暴力はもはやDVではなく、刑法で裁かれる、ということです。
こうしたケースでは、刑法208条の暴行罪や、刑法204条の傷害罪などが適用されます。
とにかく、いまDVは拡大解釈され、DV防止法にあてはまる行為はじつはさまざま。以下へ具体例をあげておきます。心当たりのある方、けっして少なくないように思います。
肉体的なDV
- 平手打ち
- 足蹴にする
- 髪をつかんで引っ張る
- テレビのリモコンを投げつける
- 刃物でおどす
精神的なDV
- 殴るふり、蹴るふり、ものを投げるふり
- どなる
- 無視する
- 人の前に馬鹿にする
- 人の前で命令口調でものをいう
- 「だれが飯を食わせてやってるんだ」という
- 実家とのつきあいを嫌がって邪魔する
- 友だちづきあいを邪魔する
- 電話をこまかくチェックしてくる
- メールやSNSの内容をチェックしたり、盗み見たりする
- 私物を壊される、捨てられる
- 生活費をくれない
- 仕事を辞めることを強要する
- 仕事をすることを禁止する
- 子どもをネタにして脅す
性的なDV
- むりやりエロ本やをみせられる
- むりやりアダルトビデオをみせられる
- その気がないのに性奉仕やセックスをさせられる
- 子どもを堕ろせという
- 避妊をこばむ
2.籍を入れていなくても、同居していればDV
配偶者、と書いてきましたが、この配偶者には内縁関係(事実婚)も含まれます。法律的な婚姻関係がなくとも、事実上の婚姻関係があれば、DV防止法の対象になります。
また、夫から暴力を受けるので離婚したが、その後も暴力は続いている、といったケースでも、元夫は配偶者に該当することになっています。
3.女性の精神的、身体的暴力もDV
そうなのです。現代は、人類史において、女性がもっとも力を持っている時代。DVをおこなうのは男性とはかぎらないのです。
事実、DV被害者の駆け込み寺として知られる「配偶者暴力支援センター」への相談件数をみても、平成26年度は女性98,384件、男性1,577件と、1.5%程度と少数ながらも被害を受けている男性がいることがわかります。
女性のDVでは腕力にものいわせるより、毒舌をぞんぶんにふるう、ということのほうが多いようですが、なかには悪態をつきながら旦那を蹴り飛ばす、というピカレスクなマダムもいるようです。
さいごに
というように、現在ではドメスティック・バイオレンス(DV)、つまり家庭内暴力の定義もぐんと広がっています。男性と女性、結婚と同棲、肉体的暴力と精神的・性的暴力を問わず、さまざまなものが処罰の対象となるのです。