ドメスティックバイオレンス(以下、DV)に対処する方法を説明します。
精神論は書きません。
話し合いでなんとかしたいとか、夫を説得し、昔のようにまた家族仲良く暮らしたいといった淡い希望を持たれている方もおられるかもしれませんが、幻想です。不可能です。スッパリあきらめましょう。
厳しいことをいうようですが、オトコは1度オンナに手をあげると、もはやなにをしようとも矯正がききません。女性が変わってもそのうち同じことをはじめます。どうしてか?
人間的魅力が薄っぺらくて、暴力以外に自分の力をオンナにアピールする方法を知らないのです。
暴力亭主とは一刻も早く手を切って、人間としての尊厳と、自分の時間と人生を取り戻しましょう。ここまで読んで、でもあの人にはわたしが必要だから……と思うのなら、いますぐブラウザを閉じてください。
わたしにはあの人が必要だから……というなら、多少は脈があります。つづきをご覧ください。
もくじ
DV夫から逃げる、戦う手段
現実的でポジティブな対処法はこの3つしかありません。
- とりあえず距離を置く
- 警察に駆けこむ
- 離婚を決心する
- 損害賠償を請求する
1.とりあえず距離を置く
距離を置こう、とあなたが考えた時点で、じつはその先には確実に離婚が待ち受けています。でも、まだふんぎりがつかない……といった場合、その場しのぎ的ではありますが、まず実験的に別居してみるのもひとつの手といえます。
あるいは、日常的な暴力によって、精神も肉体も疲れきっていて、じっくりこの先のことを考える余裕がない、という方も、加害者から一時的に避難したほうがいいでしょう。
加害者から離れる方法は2つあります。
あなたが出ていくか、相手に出ていかせるか。
相手が出て行ってくれるにこしたことはありませんが、ほとんど不可能でもあります。が、じつはDV防止法を上手に使えば、相手を自宅から合法的に、強制的に追いだすこともできるのです。
まず、あなたがどこかへ避難するケースを解説し、そのあとで相手を強制退去させる方法について解説します。
避難する
避難先としてポピュラーなのは、
- 実家
- 親族の家
- 友人宅
なお、「頼れる相手がいない」「天涯孤独なの」という方も、公的支援施設がありますので、心配はなさらずに。女性や母子を対象にした駆け込み寺のような施設で、落ちつくまで寝泊まりさせてもらえますし、必要に応じ、仕事や健康、生活、育児、将来などに関する相談も可能。保育をおこなっている施設もあります。
支援は、日本全国どこにいても受けられます。
公的支援施設には、
- 都道府県などが運営する「婦人保護施設」
- 全国の市区町村が設置する「母子生活支援施設」
の2つがあり、それぞれ婦人相談所と福祉事務所が窓口となっています。くわしくはこの記事「DV駆け込み寺 – DV夫から一時避難したい女性が使える施設」にまとめましたが、それぞれの相談窓口は、
相談してみたい方は、上のリンクからお住まいの地域の担当窓口を調べ、問い合わせてみてください。
裁判所命令で夫を自宅から強制退去させる
実家や親族の家、友人宅などはすべて夫に押さえられているから、避難しても押し掛けてきて連れ戻させる――そういう心配のある方は、DV防止法の保護命令を活用しましょう。
これを利用することで、ドメバイ(ドメスティックバイオレンス)男は、
- 6か月間、あなたに近づけなくなる
- 2か月間、自宅から出て行かなければならない
といった制限を受けることになります。1を利用すれば、離婚やその後の生活について、ゆっくり考えたり、ほかの人に相談したりする時間がもてます。この期間にドメバイ夫の手の届かない土地へ転居することだってできます。
2を利用すれば、先述のとおりドメバイ夫を自宅から2か月間も追いだすことができますね。このあいだに、自宅から荷物を運び出し、ゆくえをくらませる、ということもできます。
DV防止法の保護命令制度は、ぜひ積極的に活用したい制度です。なお、この制度を利用するには、事前に警察などへ相談している必要があります。くわしくは次の項。
2.警察に駆けこむ
裁判所から保護命令を出してもらうためには、警察ないし配偶者暴力相談支援センターの協力が不可欠です。申し立てをおこなうに際しては、このいずれかに事前に相談していることが条件となっているからです。
あなたが申し立てをおこなう手伝いもしてくれます。
窓口は次のとおり。
- 警察/もよりの警察署の生活安全課
- 配偶者暴力相談支援センター/福祉事務所や婦人相談所など
警察へ被害届を出すなら?
暴力は、刑法208条の暴行罪に抵触しますし、ケガをさせられたのなら、刑法204条の傷害罪に抵触します。警察へ被害届を出せば、刑事責任を追及することもできます。
ただし、あなたの被害届が受理されても、かならず捜査がおこなわけるわけではありません。たとえ捜査してもらえても、夫が逮捕されたり裁判にかけられたりする保証はありません。だいいち、被害届を出しただけでは、警察はあなたがたのDV問題について介入できません。
というわけで、被害届を出すにしても、事が落ちついてからが賢明でしょう。
それでも出す、というのであればとめません。この場合の担当部署は、生活安全課でなく、刑事課です。
3.離婚を決心する
離婚の方法は、大きく分けてこの3つ。
- 話し合って決める協議離婚
- 家庭裁判所に仲立ちしてもらう調停離婚
- 裁判によって離婚する裁判離婚
DVが原因の離婚の場合、もはや話し合いでは結着がつかないはず。2の調停離婚か3の裁判離婚がほとんどです。
お子さんがいなければ、問題となるのは財産分与くらい。ですが、お子さんがいる場合、親権や養育費の問題などが浮上しますから、ちょいと面倒です。
4.損害賠償を請求する
暴力をふるわれケガをさせられて病院で治療を受けていたり、暴力のストレスから心神喪失や神経衰弱になって心療内科で診察を受けた、という場合では、損害賠償請求が可能です。壊された物の代金や、引っ越しにかかった費用なども請求が可能です。
こうした経済的損失だけでなく、精神的な被害に対する損害賠償、いわゆる慰謝料の請求もできます。
が、まだ加害者とひとつ屋根の下に暮らしている、という状況で、民事裁判を起こすというのは現実的でありません。損害倍諸請求は離婚手続きの最中か離婚後に弁護士に相談しながらおこなうのが普通です。
DVに対抗する方法については以上です。少しでも役に立つところがあれば、書いたかいがあるというものです。