IT業界の景気も日本経済同様、もう長らく低迷気味ですね。とはいえ、IT技術はもはやわれわれの生活と不可分です。技術のイノベーションも後から後からやってきますから、ITエンジニアの需要はこれから先も尽きることがないでしょう。
事実、企業の求人をチェックしてみても、新卒採用枠にはむらがあるものの、経験者枠は一定サイズの重要があります。IT業界を生き抜くなら、計画的かつ継続的に資格をゲットしたいものです。
以前、ぼくはIT業界にいました。その後、新聞社系のIT情報誌や就職情報誌や転職サイトの記者をしました。多くのIT系企業やヘッドハンター、資格スクール講師らへ取材してわかった、就職や転職――キャリアアップを有利にする資格について書いてみたいと思います。
もくじ
情報処理技術者試験で、即戦力をアピールすべし
IT系の資格の狙いどころは、即戦力をアピールできる資格です。
そこでまず注目したいのが、昔から企業がもっとも高い信頼を置く、国家資格の情報処理技術者試験です。
IT系エンジニアのキャリアプランでは、プログラマーからスタートし、システムエンジニアを経て、やがてはプロジェクトを束ねるプロジェクトマネージャーへとステップアップしていく、というコースが理想的です。
そこから管理畑に進む方も多いですが、なかにはITコンサルタントとなり、IT畑のトップエリートとして現場で存分に辣腕をふるう方もいます。
情報処理技術者試験には、こうしたキャリアプランの各段階に応じて、資格が用意されていますから、長期計画をたてて、一つひとつ取得していきたいところです。
これらの情報処理技術者試験は、IT系企業の社内評価と密接に結びついています。
ここで挙げた資格を、昇進・昇格の条件として掲げている企業は少なくないですし、取得すれば単純に高度な知識やスキルが獲得できますから、長期計画を立て、各レベルの資格取得に腰を据えてとりくんでいきたいところです。
学生の方も、エントリーシートに情報処理技術者試験の名があれば、人事担当者の見る眼が確実に変わりますから、ぜひチャレンジしてみてください。たとえ不合格だとしても、「学生時代に受験した経験がある」「次回も受験する」「この資格を狙っている」といったことは、十分にアピールポイントになるはずです。
スペシャリスト系の国家資格も企業では高評価
情報処理技術者試験以外でも、就職や転職、キャリアアップの味方となる国家資格があります。
現場での評判がとくに高いのは、「ITパスポート」「ネットワークスペシャリスト試験」「情報セキュリティスペシャリスト」「データベーススペシャリスト」といった資格です。
見逃してはならないのが、勢いのあるベンダー資格
こうした国家資格と対をなすのが、ベンダー企業が認定するベンダー資格です。
業種や職種ごとに取得すべき資格は異なりますが、ベンダー資格にはとにかく勢いがある。けっして無視して通れません。
情報処理技術者試験の合間を縫ってゲットしていけば、隙のない、完璧なキャリアプランが描けるはずです。
ついでながら、マイクロソフト系の資格は、取得者数は多いものの、現場やキャリアアップに役立った、という声はあまり聞きません。
ただ、取得すれば、マイクロソフト社の特別サイトから同社の技術や製品情報を入手できるようになるメリットがあります。さらに、技術トレーニングやセミナーへの招待が受けられるという特典もあります。
Javaの代表的な資格は以上の2つですが、じつはおすすめは後者の「Oracle認定Java資格」です。
「オラクルのJava資格を持っていると、実務やキャリアアップにとても役立つよ」と話す現場のエンジニアがとても多いからです。
それから忘れてならないのが、オープンソース系の資格です。
以上のようなベンダー資格を手にすれば、IT企業が求める、専門的で実践的な知識をバッチリ会得することができます。キャリアだけでなく、現在の職場でもあなたを助けてくれるはずです。
IT系資格の人気ランキングでは、基本情報技術者試験がトップ
ここで、IT系の資格の人気ランキングを紹介しておきます。
2位 ICTプロフィシェンシー検定試験(P検)
3位 応用情報技術者試験(AP)
4位 ITパスポート試験(IP)
5位 コンピュータサービス技能評価試験
(2012年度の受験者数に基づく)
トップの「基本情報技術者試験」の受験者数は11万人を超えています。
普通に勉強すれば、楽に取得できる資格です。先に述べたように、ITエンジニアの登竜門的な資格ですから、まずは手はじめにこれをゲットしてください。
ちなみに大手SIに務めるエンジニア(友人)によると、情報処理技術者試験のなかではもっとも簡単な「基本情報技術者試験」でも取得はそれなりに大変だそうです。「学校を卒業すればほとんど合格できる医療系試験と比べて、FEは大学のIT専攻の卒業生でもほとんど合格できていなかった。合格できずに挫折するケースが多かった」とのこと。医療系資格とは毛色がまるで異なりますから、単純に比較することはできませんけれど、ともあれ誰でも勉強すれば合格できる資格は、
- サーティファイのパソコン系資格
- 情報検定(J検)
- コンピュータサービス技能評価試験(CS試験)」
- ITパスポート
- シスコやオラクルなどのベンダー資格のレベル2
ということのようです。
このなかで、ITエンジニアをめざす方がゲットしたいのは、ITパスポートとベンダー系資格です。
念のため理由を書いておきます。まず、サーティファイのパソコン資格は、マイクロソフト製品(ワード、エクセル、パワーポイント、アクセス)やアドビ製品(イラストレーター、フォトショップ)のスキルを計るもので、MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)に近い。エンジニアとしての力量をアピールできるものではありません。J検とCS試験の内容はおもに情報リテラシーで、こちらもエンジニア(志望者)の履歴書を引き立たせるものでないからです。
ちなみに、IT業界でよくいわれるのは、入社前にどれだけ知識を習得しておくかで、入社後の年収が100万円単位で変わってくる、ということです。
業界への就職や転職を考えている方は、準備には念を入れてくださいね。
面接では、問題解決力をしつこくアピールすべし
どこのIT企業も、エンジニアの資質として一番にあげるものは同じです。
なんだと思いますか?
トラブルが起こったとき、自分で判断し、自分で解決できる能力です。ITシステムやソフトウェアにトラブルはつきものです。どんなに優秀なエンジニアにとっても、実務はトラブルの多発地帯です。問題が発生したからといって、会社や上司にいちいちお伺いを立てているようでは務まりません。
問題解決力が不可欠なのです。
スキル以上に問題解決力が求められます。
換言すれば、問題解決のためのスキルが必要なのです。
資格の勉強をおこなう際も、学んでいる知識が必要な業務の遂行時にトラブルが発生した場合、どう対処すべきだろうか、という点を常にシミュレートしながらおこなうとグーです。
面接官と向かい合ったら、とにかく問題解決能力を思い切りアピールしてください。
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