別れた夫からの暴力に悩んでおられる方というのも少なくないようです。離婚後DVには、次の2つのケースがあり、それぞれに対処方法が異なります。
- 離婚前から暴力を受けていたケース
- 離婚後に暴力をふるいだしたケース
もくじ
1.離婚前から暴力を受けていたケース
夫のDVに耐えかねて離婚したが、会うたびいまだに暴力をふるわれる。あるいは、性行為を強要される。自尊心と名誉をいちじるしく傷つけるような悪口雑言を浴びせかけられる、というのも含まれます。
この場合はDV防止法を使って、夫をあなたの生活圏外へ追いはらうことができます。
DV防止法でできること
DV防止法でできるのは、
- あなたにつきまとったり、自宅や勤め先近くをうろつくことを禁止(6か月)
- あなたの子どもや親族の身辺をうろつくことを禁止(6か月)
- 電話やメールのほか、乱暴な発言も禁止(有効期間6か月)
いずれも有効期限は6か月間です。
必要な手続きは、
といってもどうやっていいのかわからないはず。大丈夫。地元の警察署の生活安全課へ行けば、ほとんどやってもらえます。配偶者暴力相談支援センターでもOK。
あなたが用意すべきは、DVの事実を証明するための証拠です。
ケガを負わされたら、病院へ行って診断書を書いてもらい、コピーをもらっておく。病院に行くほどでない軽微なケガでも写真はかならず撮っておく。乱暴な物言いをされたら、こっそり録音する。嫌がらせのメールが届いたらプリントアウトしておく。
証拠集めはあなたにしかできません。
治療費や慰謝料も請求できる
ケガをさせられて病院にかかったのなら治療費を請求できます。精神状態が悪くなり心療内科に通った、というケースも同じ。物を壊されたのなら、相応の金額の損害倍書も請求可能です。
場合によっては慰謝料もとれます。
離婚前にDVがあった事実の証明が難しい場合は?
ここまで、離婚前から離婚後も継続的にDVを受けている方に向けて書いてきましたが、じつは離婚前にDVがあったとしてもそのことをあなたが証明できなければ、DV防止法の適用範囲外ということになってしまいます。
離婚前に、あなたが警察や配偶者暴力相談支援センターに相談に足を運んだ経緯があればOKですが、そうでない場合はやはり証拠が必要なのです。
これが用意できない、という場合は、次の「2.離婚後に暴力をふるいだしたケース」をお目通しください。
2.離婚後に暴力をふるいだしたケース
DV防止法は配偶者暴力を対象としていますから、婚姻関係が切れたあとにはじまった暴力は、DV防止法では対処できません。
このときはストーカー規制法に頼ることになります。警察へ相談すれば、夫に「禁止命令」がくだされます。刑事告訴することもできます。くわしくはこちらの記事に書いています。
ストーカー規制法だけでなく、刑法や軽犯罪法を適用できるケースもあります。郵便物を盗まれたとか、自宅に勝手に入られた、凶器を振りまわしたとかです。
それと、ケガをさせられたというなら、これはもう立派な傷害罪です。警察に足を運びましょう。なお、どんなケースでも、司法のお世話になるなら、暴力や犯罪行為の証拠が必要です。